ガロア表現の変形とp進L関数の特殊値の研究

2017 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15K17509
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 千田 雅隆 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00451518)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: 一般化Heegnerサイクル / p進Gross-Zagier公式 / p進Abel-Jacobi写像 / 反円分的p進L関数

研究実績の概要

今年度も昨年に引き続き, 久賀-佐藤多様体と虚数乗法を持つAbel多様体の積の上に構成される一般化Heegnerサイクルについての研究を行った. 昨年度の研究ではMing-Lun Hsieh氏(国立台湾大学及び台湾中央研究院)と共同でBertolini-Darmon-Prasannaによって構成された一般化Heegnerサイクルの総実代数体上への一般化について研究を行い, 総実代数体上で志村曲線上の久賀-佐藤多様体を考え, 久賀-佐藤多様体とある種の虚数乗法を持つAbel多様体の直積の上に一般化Heegnerサイクルの候補と考えられるサイクルを構成したが, 今年度はそのサイクルのp進Abel-Jacobi写像の下での像と反円分的p進L関数の特殊値との関係について研究を行った. その結果, Coleman積分を用いてサイクルのp進Abel-Jacobi写像の下での像を計算することにより, Bertolini-Darmon-PrasannaやHunter Brooksによるp進Gross-Zagier公式を総実代数体上の場合に拡張することに成功した. さらにそれに加えて総実代数体上の反円分的p進L関数のnon-vanishingについての研究も行い, いくつかの技術的な仮定のもとでp進L関数が零にならないことを示すことができた. Bertolini-Darmon-Prasannaによるp進Gross-Zagier公式は様々な応用があることが知られており, 今回の研究によって得られた結果により, 総実代数体上のRankin-Selberg L関数の特殊値に対するBloch-加藤予想(玉河数予想)やRubinの公式の一般化, Chow-Heegner点の構成, さらにはMazurの予想の一般化など多くの数論的な応用が期待される.

研究成果

• [国際共同研究] 中央研究院/国立台湾大学(台湾)
  • 国名: その他の国・地域
  • 外国機関名: 中央研究院/国立台湾大学
• [雑誌論文] Selmer groups and central values of L-functions for modular forms (2017)
  • 著者名/発表者名: Masataka Chida
  • 雑誌名: Annales de l'institut Fourier 巻: 67 ページ: 1231-1276
  • DOI: 10.5802/aif.3108
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] Arithmetic diagonal cycles and special values of p-adic L-functions (2018)
  • 著者名/発表者名: Masataka Chida
  • 学会等名: UK-Japan Winter School 2018 ``Galois Representations and Automorphic forms''
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Chow-Heegner cycles on products of CM elliptic curves (2017)
  • 著者名/発表者名: Masataka Chida
  • 学会等名: Fukuoka International Conference on Arithmetic Geometry in 2017
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Chow-Heegner cycles on self-products of CM elliptic curves (2017)
  • 著者名/発表者名: Masataka Chida
  • 学会等名: Workshop on p-adic L-functions and algebraic cycles
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会・シンポジウム開催] Arithmetic Geometry and Related Topics (2017)