野性McKay対応で必要となる形式的穴あき円盤上の有限群に対するモジュライ空間の構成に関してFabio Tonini氏と共同で行った成果を、最終年度に論文にまとめarXiv上で公開、専門雑誌に投稿した。これらはHarbaterの結果の一般化・精密化となっている。今後はこのモジュライ空間を用いて、野性的Deligne-Mumfordスタック上のモチーフ積分の理論を構築、そして任意の有限群に対する野性McKay対応予想への応用されることが期待される。 また、位数が標数と等しい巡回群の場合の野性マッカイ対応の応用として、付随する商特異点に関する面白い結果を得た。これは、以前に得られていた結果を最終年度にさらに改良したものとなる。より正確には、いつ商特異点がマイルドになるかを、簡単な不変量で決定することができた。この研究により、Cohen-Macaulay的でないが末端的な特異点という病的な特異点の例を構成することができた。この結果は、今後発展が期待される正標数の高次元代数多様体や極小モデル理論の研究に役立つ可能性がある。 代数体上のMcKay対応類似を考察することで整数論の二つの予想、Manin予想とMalle予想をヒューリスティックな議論により関連づけることが出来た。前者は有理点の分布、後者は代数体の分布に関する予想である。また、ディオファントス問題に関する有名なVojta予想を特異点の視点から一般化した。これはVojta自身による乗数イデアルを用いた定式化をさらに一歩推し進めたものとなる。これにより Vojta予想と高次元代数多様体論がより密接に関連し、両分野のさらなる融合が期待される。
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