最終年度には主に次の『Transformation law によるGrothendieck local residue の計算の計算手法の確立とその実装』、『新たなBernstein-佐藤多項式計算手法の研究』の2つを行った。 前者については、筑波大学田島慎一教授の先行研究の穴を埋めることができた。それは、計算機代数の手法と代数的局所コホモロジーの理論を用いたことによりなされ、今まで不可能と思われていたTransformation law による手法で計算する方法が確立できた。 後者の目的であるBernstein-佐藤多項式は特異点のある種の不変量である。現在、このBernstein-佐藤多項式を計算する方法は存在するが計算量が大きく、実際には教科書に載っている簡単な特異点のBernstein-佐藤多項式すら計算できないことが多々ある。そのため、新しい手法として1980年代に琉球大学の加藤満生教授が用いた計算手法のアルゴリズム化考えた。この手法を確立するためには、多くの計算ステップが必要となりそれぞれを確立する必要がある。その一つのステップがgeneralized integral dependence relationがある。最終年度でgeneralized integral dependence relationの計算法を示すことができ、今後の新たな計算手法の構成の足がかりができた。 研究全体を通じで当初の予定以上のアルゴリズムの構成・発見ができた。代数的局所コホモロジーとグレブナー基底を持ちた特異点変形アルゴリズム,代数的ベクトル場の構成,μ-constant deformationのチュリナ数自動分類計算,PBW代数を利用したホロノミックD加群の計算と変形Bernstein-佐藤多項式という研究トピックを扱うと共に、どれも予想以上の結果を得ることができている。
|