研究課題/領域番号 |
15K17516
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
相原 琢磨 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (40714150)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 導来圏 / 導来同値 / 傾対象 / 傾変異 / 傾連結 / τ傾加群 / 三角圏の次元 |
研究実績の概要 |
当該研究の主な目的は、(有界)導来圏の圏構造および有限次元多元環の導来同値を具体的な方法により解析することである。特に、伊山修氏との共同研究により導入した(準)傾変異を用いて、導来圏および導来同値に関する様々な計算を線型代数的手法や組み合わせ的手法に帰着させることである。主な問題は、(1)導来同値を引き起こす(準)傾対象の分類について、および、(2)(準)傾対象の間の関係を調べるための(準)傾連結性について、の二点である。本研究では、この二つの問題の解決を目指す。
平成29年度は特に、「(準)傾対象の存在」について研究を行った。導来圏や安定圏には特殊な状況下でのみ、(準)傾対象が存在することは知られていた。この結果を応用・一般化し、「特異圏はいつでも(準)傾対象をもつか?」という疑問の解決を目指し、一つの答えを得ることができた。それは、与えられた環の自己右入射次元が有限ならばその特異圏は(準)傾対象をもたないというものである。これは先の研究の一般化を与える。
また、導来圏(一般に、三角圏)の大きさに関する研究についても進展があった。三角圏の大きさを測る概念として、「局所有限性」および「次元」が挙げられる。局所有限な三角圏はとても小さく見えるが、知られている例では、そのような三角圏は次元0をもつ。そこで自然な疑問として、「局所有限をもつことと次元0をもつことは同値か?」が挙げられる。高橋亮氏との共同研究(arXiv:1801.09349)により、この疑問に対する部分的解決が得られた。さらに同研究において、三角圏の次元をある値によって下から評価する方法を与えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究の一つの目標であった「(準)傾対象の存在」について、ある答えを得ることができた。また、導来圏の圏構造を観察するために重要な次元について、新しい結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も「準傾対象の分類問題」および「準傾連結性問題」の解決を目指し、研究を行う。また、「準傾対象の存在・非存在」についても引き続き研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)前年度からの残額があったため。
(使用計画)研究課題に関わる出張および図書の購入費として計上する。
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