研究課題
K3曲面上の非シンプレクティック自己同型について研究をした.特に位数のオイラー関数の値が12以上の場合を調べた.この場合は非シンプレクティック自己同型を持つK3曲面のモジュライの次元が0次元であることが簡単な計算によりわかる.Junmyeong Jang (University of Ulsan)と共同研究を行ない,非シンプレクティック自己同型の局所的な作用をかなり細かいレベルまで調べた.そうすることで「このような位数の自己同型が存在すれば,Neron-Severi格子への作用は****だ」という"感じ"のことがわかる.その一方でSimon Brandhorst (Leibniz Universitat Hannover)が「自己同型の詳細は無視しても,K3曲面そのものが複数存在するケースがある(より正確には,ある特定の位数の非シンプレクティック自己同型を持つK3曲面の同型類の決定の仕方を与えた)」という内容プレプリントを提出してきた.そこで自己同型の視点を加えて,モジュライは何点から成るか?という問題解決に取り組んでだ.また,非シンプレクティック自己同型を持つK3曲面と関わりが深い対数的Enriques 曲面の研究も始めた.対数的Enriques 曲面に適当な条件を仮定をしたとき,どれの程度対数的Enriques 曲面が存在し得るか?という話である.適当な特異点解消を取ることでK3曲面の話題に帰着できるので,これは非シンプレクティック自己同型の位数があまり大きく無いときの考察を兼ねている.
2: おおむね順調に進展している
自己同型の研究はかなり細かい計算の積み重ねを行う必要があるが,それが着々と集まっているから.また自己同型よりも多様体の様子が分からなかったのだが,Brandhorstの結果によりだいぶ見通しが良くなったから.
非シンプレクティック自己同型を持つK3曲面の研究に関しては淡々と計算を進めて行く.対数的エンリケス曲面の研究は具体例の構成(既に幾つかはあるが)と特異点解消した後のK3曲面上にある有理曲線の様子を考察していく.また毎年開催している「K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ」で研究交流の場を設ける.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Journal of the Korean Mathematical Society
巻: Vol. 53, No. 6 ページ: 1237--1260
10.4134/JKMS.j150339
http://sm.u-tokai.ac.jp/~taki/2016hokkaido.html