研究課題/領域番号 |
15K17520
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
瀧 真語 東海大学, 理学部, 講師 (30609714)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | K3曲面 / 非シンプレクティック自己同型 / モジュライ / 代数幾何 |
研究実績の概要 |
K3曲面の対称性を表す自己同型について調べている.特に有限非シンプレクティック自己同型を持つK3曲面について研究をした.そのような自己同型の位数のオイラー関数の値が12以上である場合は,非シンプレクティック自己同型を持つK3曲面のモジュライは点から成り,それが既約(つまり1点)であるか否かが問題である. 自己同型や多様体に行くつかの仮定を付けた場合の研究も行われているが,今回は「K3曲面が有限位数の非シンプレクティック自己同型を持つ」ということだけからスタートしている.なお,自己同型の位数のオイラー関数の値が12未満の場合はモジュライ空間が次元を持つので,問題意識からして「オイラー関数の値が12以上」という仮定は自然である. このとき,位数21,26,27,28,32,34,36,38,42の場合が未解決であった.これらに関する研究は以前からいくつか行われていたが,どれも大なり小なり誤りを含んでいた.それらを修正し,上のいずれの場合も可約であることが分かった.このうち26,34,38 の場合はK3曲面には一意性があるが,それ上に複数の非シンプレクティック自己同型が作用する.また21,27,28,32,36,42に関してはこのような数を位数に持つ非シンプレクティック自己同型が作用するK3曲面は複数ある.(自己同型の分類に関しては未解決) さらに「第5回 K3曲面・エンリケス曲面ワークショップ」を開催し,研究交流の場を設けた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いつ非シンプレクティック自己同型を持つK3曲面のモジュライが1点になるか,という問題の答えが得られたから. ただし自己同型の詳細(局所的な作用など)はまだ不明である.
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今後の研究の推進方策 |
K3曲面そのものについてはかなり分かっているが,自己同型の詳細・分類はまだ未解決である.大きな位数の自己同型を調べるときには約数を位数に持つ自己同型をある程度理解している必要がある.その一環として,自己同型の商曲面,特に対数的エンリケス曲面の考察も進める.
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