研究実績の概要 |
まず、アメリカでの研究集会に参加し(algebraic geometry 2015, University of Utah, 7月)、ドイツでセミナー講演を行った(Research seminar on arithmetic algebric geometry, Leibniz universitaet Hannover、9月)。11月にも、これまでに得られた成果についてドイツのOberwolfach研究所で講演した(この時の旅費は大学から出して頂いた)。 電子的な公表でとどまっていた論文「Rationality of the moduli spaces of Eisenstein K3 surfaces (with S. Ma, S. Taki)」が出版された。 非特異有理曲線の配置の観点からType IIと呼ばれている、有限自己同型群を持つようなエンリケス曲面の一次元族について精密な記述が得られた。特に、新しい射影モデルとなる6次曲面表示が得られた。ここには自己同型群が線型に作用し、この観点から最も自然なモデルと言っていいように思う。そのモジュライ空間についても、過去に行われた研究と比較した結果、モノドロミー群が保型関数論でよく知られた合同部分群と一致していることがわかり、この帰結として対応する楕円モジュラー曲面がエンリケス曲面の二次ツイスト(quadratic twist)構造、楕円曲線束、モジュライ曲線に繰り返し現れるという一面を理解した。論文の形にしようと思っているがまだまとまっていない。
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