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2015 年度 実施状況報告書

Vojta予想解決に向けた代数多様体上の整数点と数論的力学系の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K17522
研究機関日本大学

研究代表者

安福 悠  日本大学, 理工学部, 准教授 (00585044)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードボエタ予想 / 整数点 / 有理点 / 数論的力学系 / アフィン代数幾何 / ブローアップ
研究実績の概要

27年度の研究実施計画の通り,本年度は,開代数曲面上での整数点の退化性の必要十分条件についてAaron Levin氏 (ミシガン州立大学)と取り組み,共著論文を執筆した.現在投稿中である.アフィン代数幾何の構造定理とディオファントス幾何で知られている結果を融合する論文で,Frederic Campana氏が提唱する予想とも整合的な結果となった.27年度の研究の間に,以前の結果よりも精密化することに成功し,殆どの場合において, 整数点が退化するか否かを決定できた.また,決定できなかった場合も具体的に定義式の形で分類し,今後の研究を進めやすいよう整理した.

この研究については,より広い範囲の開代数曲面上で分析ができるよう,アフィン代数幾何の専門家である,小島 秀雄氏 (新潟大学)と27年度に研究討議を行い,現在も継続研究中である.

また, 射影平面からブローアップを繰り返した空間におけるボエタ予想について考察した単著論文を執筆し,現在投稿中である.「研究の目的」の欄でも述べたが, ボエタ予想は代数多様体上の有理点や整数点の分布についての大変深遠な予想であり,いまだ大部分に関して未解決である.この論文では,射影平面からあるタイプの多重ブローアップを行った場合に,ボエタ予想を完全証明した.また,別のタイプの多重ブローアップを行った場合は,abc予想の特殊な場合を導き,逆にabc予想 を仮定してこの場合のボエタ予想を証明した.現在,望月 新一氏がabc予想の証明を発表しているが,この研究成果により,一次元空間の整数論の主張であるabc予想が,曲面の有理点の分布とも密接な関連があることが分かった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究実績の概要」の欄でも述べた通り,開代数曲面における整数点についての共著論文と,射影平面の多重ブローアップ上におけるボエタ予想についての単著論文を執筆することができたため,研究はおおむね順調である.査読期間の関係などもあり,研究発表として27年度に掲載できるまでには至らなかったため,当初の計画以上の進展と言うには及ばないが,開代数曲面の整数点に関して未解決な部分を整理することもできたので,次の欄で述べる28年度の研究へ向けた良い準備をすることもでき,着実に計画通り研究は進んでいるといえる.

今後の研究の推進方策

「現在までの進捗状況」の欄でも述べた通り,研究計画通りおおむね順調に進んでいるので,当初の研究実施計画に沿って研究を行っていく.27年度に訪問した台北では,Liang-Chung Hsia氏 (台湾師範大学)及びJulie Tzu-Yueh Wang氏 (台湾中央研究院)と,Schmidtの部分空間定理の改良について研究討議を行った.この継続研究を行い,新しいディオファントス近似の定理から得られる,代数曲面上の有理点の分布について調べていく.また,27年度の研究では決定できなかった曲面上の整数点退化問題について,継続研究を行う.力学系に関しては,軌道上の整数点が退化するかどうかという定性的な研究だけでなく,高さ関数を用いた定量的研究も行う.海外への出張や,海外の研究者の招へいを通して,幅広く最新の知見を得ながら研究を進めていく

次年度使用額が生じた理由

元々招へいするはずだった海外の研究者のご都合がつかず,27年度の共同研究は電子メール上やSkype上だけで行ったことが原因である.

次年度使用額の使用計画

これだけテクノロジーが発達した時代においても,実際に直接お会いして一緒に研究考察を行うことから得られる独創性は代えがたいものであるので,今年度に彼らを招へいする予定である.

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 6件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] ミシガン州立大学/ブラウン大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ミシガン州立大学/ブラウン大学
  • [国際共同研究] 台湾師範大学/中央研究院(台湾)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      台湾師範大学/中央研究院
  • [国際共同研究] ロレーヌ大学(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      ロレーヌ大学
  • [雑誌論文] 軌道上の単数の一様有界性2016

    • 著者名/発表者名
      Yu Yasufuku
    • 雑誌名

      京都大学数理解析研究所 講究録

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] 曲面上のVojta予想と,abc予想・Farey数列2016

    • 著者名/発表者名
      Yu Yasufuku
    • 学会等名
      日本数学会年会 代数学分科会
    • 発表場所
      筑波大学 (茨城県つくば市)
    • 年月日
      2016-03-17 – 2016-03-17
  • [学会発表] 曲面上のVojta予想と,その値分布類似2016

    • 著者名/発表者名
      Yu Yasufuku
    • 学会等名
      東京工業大学 複素解析セミナー
    • 発表場所
      東京工業大学 (東京都目黒区)
    • 年月日
      2016-02-03 – 2016-02-03
    • 招待講演
  • [学会発表] Exceptional sets in 2-dimensional dynamics and integral points2015

    • 著者名/発表者名
      Yu Yasufuku
    • 学会等名
      RIMS Complex Dynamics
    • 発表場所
      京都大学 (京都府京都市)
    • 年月日
      2015-12-10 – 2015-12-10
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 軌道上の整数点について2015

    • 著者名/発表者名
      Yu Yasufuku
    • 学会等名
      八王子数論セミナー
    • 発表場所
      八王子セミナーハウス (東京都八王子市)
    • 年月日
      2015-09-04 – 2015-09-04
    • 招待講演
  • [学会発表] Some 3-variable Diophantine Equations and Arithmetic Dynamics2015

    • 著者名/発表者名
      Yu Yasufuku
    • 学会等名
      台北数論セミナー
    • 発表場所
      台北 (台湾)
    • 年月日
      2015-05-15 – 2015-05-15
    • 招待講演
  • [学会発表] 3変数ディオファントス方程式と2次元完全不変集合2015

    • 著者名/発表者名
      Yu Yasufuku
    • 学会等名
      明治学院大学 数論セミナー
    • 発表場所
      日本大学理工学部 (東京都千代田区)
    • 年月日
      2015-04-18 – 2015-04-18
    • 招待講演
  • [学会発表] Campana's Weight and Integral Points on P^22015

    • 著者名/発表者名
      Yu Yasufuku
    • 学会等名
      東京大学 複素解析幾何セミナー
    • 発表場所
      東京大学 (東京都目黒区)
    • 年月日
      2015-04-13 – 2015-04-13
    • 招待講演
  • [備考] Yu Yasufuku's Page

    • URL

      http://www.math.cst.nihon-u.ac.jp/~yasufuku/

URL: 

公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-03-01  

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