研究課題/領域番号 |
15K17525
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研究機関 | 小山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
三柴 善範 小山工業高等専門学校, 一般科, 講師 (70737725)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 多重ゼータ値 / 多重ポリログ / 関数体 / 有限多重ゼータ値 / t加群 / 周期 / 線型独立性 / 代数的独立性 |
研究実績の概要 |
標数0における通常の多重ゼータ値や多重ポリログ値の関数体類似として,関数体上でも無限進の世界でCarlitz多重ゼータ値やCarlitz多重ポリログ値といった対象が考えられる.また,p進の設定の関数体類似として,有限素点vに対するv進の世界があり,そこでもこれらの類似物を研究することができる.今年度はChieh-Yu Chang氏との共同研究により,以下の結果を得ることができた. まず,昨年度に得られた結果を推し進め,v進Carlitz多重ポリログの解析接続を得ることができた.これにより,無限進Carlitz多重ポリログ値がEulerianであることおよびv進Carlitz多重ポリログ値が0となることの同値性についての定理において,収束性に関する条件をより自然なものにすることができた.また,この解析接続を用いることで,v進Carlitz多重ゼータ値をv進Carlitz多重ポリログの整点での値を用いて定義することに成功した. また,有限Carlitz多重ゼータ値および有限Carlitz多重ポリログ値を定義し,その性質を研究した.特に,後者を用いて前者を記述することができた.この結果は論文にまとめ,現在投稿中である. さらに,Carlitz多重ゼータ値が対数関数のある座標に現れるようなt加群を構成することにも成功した.但し本結果については,まだ改良の余地があり,引き続き研究を行っている.また,この結果を用いた応用についても研究中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正標数の世界において,昨年度に示した無限進Carlitz多重ポリログ値とv進Carlitz多重ポリログ値の関係を改良し,不自然な仮定を外すことができた.これにより,本研究の主目的の一つである周期の線型独立性について,より広範な結果を得た.同時にv進Carlitz多重ポリログの解析接続を得ることで,v進Carlitz多重ゼータ値の定義を与えることもできた. また,別の設定として,正標数における有限Carlitz多重ゼータ値および有限Carlitz多重ポリログ値についての研究も進んだ.しかし,こちらは独立性に関する結果を得るには至っていない. 以上のことから,本区分とした.
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今後の研究の推進方策 |
Carlitz多重ゼータ値をt加群の対数関数の座標として表す結果を改良する.それを用いて,Carlitz多重ポリログ値の方と同様に,無限進Carlitz多重ゼータ値とv進Carlitz多重ゼータ値の関係を示すことを一つの目標とする.また,有限Carlitz多重ゼータ値や有限Carlitz多重ポリログ値に関する研究も推し進め,これらに関する独立性も扱えるようにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
学内業務の関係で予定していた出張を行うことができなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
共同研究および海外の研究者と議論を行うために海外出張を予定している.また,国内の研究集会における発表および情報収集も予定しており,主にこれらの旅費に充てる.また,研究上必要な書籍も購入予定である.
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