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2015 年度 実施状況報告書

不分岐コホモロジーと高次元の数論的体上の代数曲面に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K17526
研究機関豊田工業高等専門学校

研究代表者

植松 哲也  豊田工業高等専門学校, 一般学科, 助教 (60735132)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードBrauer 群 / 対角的2次曲面 / 対角的3次曲面 / 不分岐コホモロジー
研究実績の概要

1. 論文 On the Brauer group of affine diagonal quadrics が修正ののち, 欧文誌 Journal of Number Theory に採録されることとなった. この論文では, 3次元空間内で, x*x+b*y*y+c*z*z+d=0 という方程式で定義される曲面(アフィン対角的2次曲面)X_{b,c,d} について, その Brauer 群の構造や, 生成元の表示について, 考察したものである. Brauer 群の生成元の具体的な表示は, 曲面の方程式に現れる係数 b,c,d を変えるごとに変化するが, 本論文では, その変化が, 係数 b,c,d により, 代数的には書き表せないことを証明した. この事実は, 曲面の性質が b,c,d に依存して, 大きく変化することを示唆するものであり, 対角的2次曲面の様相をBrauer 群(2次の不分岐コホモロジー)を通して明らかにした, 意義ある結果である.
2. 対角的3次曲面の3次不分岐コホモロジーについて, 研究を行った.
(1) エタールコホモロジーや不分岐コホモロジーを計算する手法の一つである, スペクトル系列を用いた, 3次不分岐コホモロジーの計算を進めた. 計算の途中で, 構造が分かっていない群や解析の困難な対象が現れ, 不分岐コホモロジー自体の詳しい構造に迫ることはできなかった.
(2) 1.に述べた論文の修正の過程で得られたコホモロジーのカップ積や剰余写像に対する理解から, 対角的3次曲面の3次不分岐コホモロジーの明示的な元を見いだすことができた. しかしながら, その元が, 3次不分岐コホモロジー群の中で, 非自明でないことを示すことができておらず, その問題について, 検討中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

アフィン対角的2次曲面の Brauer 群について, 研究成果をまとめ, 採録決定に至ったことは, 評価できるものと考えている. 一方, 高次の不分岐コホモロジーについては, いくらか解析は進んだものの, まだ十分な成果はあげられていない. 以上より「(3) やや遅れている」とした.

今後の研究の推進方策

1. 研究実績の概要の 2. で述べた問題に対する考察を進める. いずれも, Brauer 群の場合の議論を再度検討し, 比較しながら行っていきたい.
2. 対角的2次曲面, 対角的3次曲面といった具体的対象への研究を念頭に置きながらも, 一般論, とくに, それらの曲面を含むより広い多様体のクラスである有理的多様体の Brauer 群や不分岐コホモロジーに対する理解を深める.
3. 関係する領域, 特に代数的K理論や代数的サイクル, モチーフなどについても, 文献を購入したり, また研究集会に積極的に参加するなどして, 情報収集を行う.

次年度使用額が生じた理由

研究発表に伴う旅費が発生しなかったため.

次年度使用額の使用計画

引き続き, 研究に関連する研究集会やセミナー等への旅費, 研究上必要となる文献の購入などにあてる予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] On the Brauer group of affine diagonal quadrics2016

    • 著者名/発表者名
      Tetsuya Uematsu
    • 雑誌名

      Journal of Number Theory

      巻: 163 ページ: 146 - 158

    • DOI

      10.1016/j.jnt.2015.11.015

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [備考] Tetsuya Uematsu

    • URL

      http://math.dge.toyota-ct.ac.jp/uematsu/ja/index.html

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公開日: 2017-01-06  

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