研究実績の概要 |
報告者は距離空間や多様体のモジュライをグロモフ・ハウスドルフ位相を用いて調べている. 特に, アレクサンドロフ空間と呼ばれる曲率が下に有界な距離空間を詳しく調べている. 当該年度において, 境界を持つ3次元アレクサンドロフ空間が, 低次元のアレクサンドロフ空間に収束する場合に, それが, 低次元空間上の特異束構造を持つ事を解明しつつあった. この目的の為に, 境界付きアレクサンドロフ空間の正則領域に対して適用可能な, 正則距離関数のフロー定理を証明した. また, アレクサンドロフ空間を含む十分広いクラスの位相空間に対して, 領域不変性定理を証明した. これらは京都大学の山口孝男氏との共同研究である. また, シンプレクティックトーリック多様体のモジュライに定義される距離や自然な位相の同値性について, 基本的な結果を得た. もっと言えば, Delzant 対応を通じて, そのモジュライは, ユークリッド空間の閉凸体のモジュライの部分集合とみなせるので, 閉凸体の世界において, 議論を展開した. これらは日本女子大学の藤田玄氏と熊本大学の北別府悠氏との共同研究である.
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