研究課題
前年度に引き続き特異点を持つ曲面の微分幾何学的な研究を中心に研究を行った。特異点を持つ曲面へのアプローチとして、枠付き曲線の一係数族として捉える手法を新たに導入し、枠付き曲面との関係を考察し、枠付き曲面が枠付き曲線の一係数族となるための必要条件や、枠付き曲線の一係数族が枠付き曲面になるための必要条件の、それぞれの曲率を用いて記述した。また、枠付き曲線の一係数族として扱える曲面として、余階数1の特異点(カスプ辺、カスプ的交差帽子、ツバメの尾)、交差帽子、繊織面などの具体例を提示した。特に、交差帽子は2次元ユークリッド空間から3次元ユークリッド空間への写像の特異点としてジェネリックに現れる重要な特異点であるが、枠付き曲面にはならない事が知られており、このような特異点に対して新たな研究手法の枠組みを与えたことには重要な意義があると言える。また、余階数1の特異点を持つ写像に関して、フロンタルであること、枠付き底曲面であること、枠付き曲線の一係数族になることが同値であることを示した。特異点を持つ曲面に関する研究では、位相幾何学的な立場からの研究を中心に行った。平面ルジャンドル曲線の回転数の量子化を考え、平面フロントのアーノルド不変量との関する考察を行った。この研究に関してはまだ発表可能な段階にはないが、今後はルジャンドル結び目の不変量などとの関係も含めて展開する予定である。また、伊藤昇(東京大学)と共同でトラエフの語の理論を用いた平面曲線及び結び目の不変量に関する研究も行っている。
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Bulletin of the Brazilian Mathematical Society, New Series
巻: 印刷中 ページ: -
Journal of Geometry
巻: 108 ページ: 763, 774
10.1007/s00022-017-0371-5
http://www.kyusan-u.ac.jp/J/tfuku/index.html