研究課題/領域番号 |
15K17548
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研究機関 | 秋田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
加世堂 公希 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (40705117)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 微分幾何学 / ローレンツ幾何学 / 曲面論 |
研究実績の概要 |
サンパウロ大学を訪問し、M.A.S.Ruas氏、A.C.Nabarro氏と研究打ち合わせを行った。ド・ジッター空間内の余次元3の空間的曲面上で定義される漸近線について調べるため、漸近線の方程式や特異点論を用いた局所的分類方法について議論を行った。まず第二基本量の係数から得られる行列の階数が2の場合を考え、漸近線に関する方程式について調べた。その結果、得られる方程式が代数的に解析しやすい形になることが分かり、階数が2における方程式の解と実際に現れる漸近線との関係について調べることができた。また、第二基本量の係数から得られる行列の階数が3の場合を含めて考え、漸近線のジェネリックな分岐について議論を行った。空間的曲面の漸近線の分岐についてジェネリックな分類はまだ完全に得られていない。しかし、特異点論を用いて代数的な条件を解析すれば、代表的ないくつかの漸近線について調べられることが分かった。 スペインのバレンシア大学を訪問し、M.C.R.Fuster氏、E.S.Codesal氏と研究打ち合わせを行った。3次元ユークリッド空間内の曲面から誘導されるド・ジッター空間内における光的曲面について調べるため、光的曲面から構成される擬正規直交枠やローレンツ不変量について議論を行った。ユークリッド空間内の曲面に関係する光的曲面の新しいローレンツ不変量は現時点で得られなかったものの、光的曲面から構成される別の曲面を用いて不変量を構成する方策を議論することができ、ローレンツ不変量を用いて光的曲面を調べるための道筋をつけることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
空間的曲面の漸近線の研究については、階数2において、漸近連に関する方程式と実際に現れる漸近線との関係について調べたが、漸近線のジェネリックな分類とその分類のための条件をまとめることができていない。そのため、漸近線の大域的な挙動についてはまだ調べてはいない。 光的曲面の研究については、光的曲面から構成される擬正規直行枠について議論し、ユークリッド空間内の曲面の幾何学的な不変量の情報を持つド・ジッター空間内の別の曲面を光的曲面から構成したが、新しい幾何学的性質を説明するためのローレンツ不変量や特異点付きの可微分写像の構成することについてまだ手付かずの状態である。以上の結果から、研究はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
空間的曲面の漸近線の研究については、はじめにいくつかの代表的な分岐をする場合の条件を優先的に調べる。次に、ジェネリックに現れる可能性のある漸近線の分岐について特異点論を用いて調べる。 光的曲面のローレンツ不変量の研究については、光的曲面から構成される可微分写像からローレンツ不変量を構成し、さらに特異点付きの写像から得られる特異点の幾何学的性質について調べ、元の光的曲面との幾何学的関係を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究打ち合わせや学会出席に係る出張は予定通り行われたが、ブラジル・スペインへの2か国の出張を一回の出張にまとめたこと、本年度の物品等の購入費が少なかったことが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度もRuas氏 Nabarro氏との研究打ち合わせを継続するための渡航滞在費用に使用する。さらにポーランドのベドレボにおける研究集会に参加し研究発表をするとともに、同研究集会に参加する予定のFuster氏と現地で会って研究打ち合わせを行い、昨年度にFuster氏Codesal氏と行った研究課題について継続的に議論を継続する。 また、特異点論に関する研究を進めるために、国内において研究員を招聘して研究打ち合わせを行う。加えて、研究に必要な物品・書籍等の購入費、論文作成に必要な印刷機の消耗品等の購入費に充てる。
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