現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
もともと研究計画として主に以下の4つを考えていた: (1) 自由無限分解可能分布の研究, (2) 乗法的自由畳み込みに関する研究, (3) キュムラントの研究及び組合せ論的なHopf 代数との関係, (4) 対称群の漸近表現論の研究. 当初の予定以上に進んだ部分としては、【研究実績の概要】で述べたウィグナー確率変数のベキの自由無限分解可能性、またそこでは述べなかったが佐久間紀佳との共同研究で自由Levy過程の単峰性について研究が進展し、Hao-Wei Huang氏との共同研究では自由無限分解可能分布における新しい極限定理を見つけた。これらによって、(1)に関する当初の研究実施計画よりも大きく進展した。 また【研究実績の概要】で述べたOctavio Arizmendiとの共同研究によって(2)の研究が進展し、やや元の目標と方向性がずれているが、吉永正彦氏との共同研究で(3)が進展した。またB型のFock空間に関するMarek Bozejko, Wiktor Ejsmontとの共同研究は科研費事業が始まる以前の平成26年度中に完成した。さらにその研究の続きとして、Marek Bozejko・浅井暢宏氏とB型Fock空間のBargmann表現を計算した。またBenoit Collins, 佐久間紀佳氏と自由確率論を用いてランダム行列の離散固有値を解析した。これは当初は予定していなかった進展だった。 当初の予定より進まなかったのは、Franz Lehnerとのキュムラントの共同研究で、27年度に完成させようとしていたのだが、終わらなかった。 以上を総合的に見ると、研究は予定以上に進んだといって良いと思う。
|