研究課題/領域番号 |
15K17550
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
平山 至大 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (50452735)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エルゴード性 / 横断性 |
研究実績の概要 |
体積を保つ部分的双曲型力学系に対しては,それに付随する位相的不変葉層に沿うホロノミー写像の正則性が詳しく調べられている.その性質を用いて,葉層に対する密度点集合の幾何構造を捉えることで,体積を保つ部分的双曲型力学系のエルゴード性問題は大きく進展した. 他方で,体積を保つ非一様双曲型力学系に対して,そのような性質は明らかにされていなかった.困難の要因は,この力学系に付随する不変葉層は一般に位相的ですらなく,さらにそれらの葉層どうしの交差が横断的とは限らないところにある.(これらは部分的双曲型力学系では起きない現象である.) 本研究ではこれまでに,体積を保つ非一様双曲型力学系に付随する不変葉層に沿う(退化した)ホロノミー写像の正則性をいくつかの特別な場合について明らかにしている.今年度は,これまでの成果をまとめた論文の一つが受理され,オンライン版では掲載された.また,国内外の研究集会において発表を行った. 次に,体積を保つ一般の非一様双曲型力学系についてであるが,こちらについての研究は難航している.その原因は,これまでに確立した議論が葉層の次元による制約を受けるためである.そこで前年度より,これまでに確立した議論のうち幾何学的な部分を捉え直すべく,議論の再構築を進めてきた.今年度もこれを続けてきたが,葉層の次元に起因する困難を解消するには至らなかった.しかしながら,体積を保つ非一様双曲型力学系がさらに部分的双曲型でもある場合には,議論の再構築による若干の進展があった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
体積を保つ一般の非一様双曲型力学系についての研究が難航しているため.
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今後の研究の推進方策 |
体積を保つ非一様双曲型力学系がさらに部分的双曲型でもある場合に研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
その他経費が抑えられたため. 物品購入費として使用する.
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