研究実績の概要 |
平成28年度から平成29年度までに予定していたFourier制限問題と荷重付掛谷極大関数の関係の研究は, 多くの困難が含まれていることがわかり研究計画を見直した. 平成29年度は大きく分けて2つの方向性で成果を得ている. (1)1つ目は荷重付Lebesgue空間における種々の極大関数のFefferman-Stein型不等式の研究である.平成28年度の前半で発表した自身の荷重理論の論文を再考し,この研究により分数冪強極大関数に関するFefferman-Stein型不等式を証明した.従来荷重に対してMuckenhouptの直方体型のA∞条件を仮定していたが, この条件を完全に排除し, 最も一般的な形で証明した. こちらは現在投稿中である. また, 中国の研究者と行った多重線形極大関数についても同様の研究成果を得ており, 現在投稿中である. (2)2つ目はHausdorff容量を用いた極大関数の研究である.荷重付Hausdorff容量の研究に取り組んでいる海外の先行研究を再考察し, Choquet-Lorentz空間上でFefferman-Stein型不等式を示した. その際, Hausdorff次元と分数冪作用素が持つパラメータの関係はあまり調べられていなかったが, 我々の研究によって完全に制御することができた. こちらは現在投稿中の専門誌から修正の報告を受けている, しかるべき調整の後受理される見込みである. Hausdorff容量による解析は掛谷予想への応用することを目標としているが, 現在世界的にもまだ始まったばかりである. 本年度から強極大関数のChoquet空間上での有界性について研究を開始し, min(1,d)<pという範囲で有界性が成り立つことを示した. この指数は最良であることも確認でき, 現在その論文を投稿中である.
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