研究実績の概要 |
(1) 神戸大学にて行われた研究集会「Conformal field theory, isomonodromy tau-functions and Painleve equations」にて,講演者の一人であるGabriele Rembado氏(パリ第11大学)と本研究課題について議論し,氏のこれまでの研究成果と本研究のこれまでの成果をもとに,単純型モノドロミー保存変形の量子化について共同研究を行うことになった.それによって,本研究における課題の一つであった量子単純型モノドロミー保存変形方程式の時間変数の拡張について,解決のための新たなアプローチを発見した.今後も解決に向け引き続き共同研究を行っていく.
(2) 不分岐不確定特異点を持つ線形常微分方程式の(単純型とは限らない)モノドロミー保存変形について,相空間であるシンプレクティックファイバー束上の閉2次微分形式で,各ファイバー上への制限がシンプレクティック形式であり,かつその微分形式の核が無限小モノドロミー保存変形を与えるようなもの(基本2次形式)を具体的に構成することに成功した.更にこの結果と研究代表者の過去の研究成果を利用して,不分岐モノドロミー保存変形方程式の非自励ハミルトン系としての新しい記述を得ることに成功した.現在執筆中のこれらの結果はFrenkelとBen-Zviにより構成されているKnizhnik-Zamolodchikov-Bernard方程式の量子化と関係があると期待しており,頂点作用素代数の理論を応用することで量子化への新たなアプローチを与えることになると考えている.
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