研究成果の概要 |
本研究の目的は, 介在物同定の境界値逆問題の安定性についての解析, その中でも特に, 未知である介在物に関する情報が安定性にどのように影響するのかについての解析である. この目的のためには, 安定性評価に現れる定数が, 介在物に関する情報にどのように依存するかについてのより精密な解析が必要となる. 現在, その解析に必要と思われる, 境界値問題の解の明示的表示を得る方法についての知見を得た. 今のところ目的である安定性評価を得るまでには至らなかったが, この知見を活かして解析を続けていきたい.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
逆問題に於いて, 安定性とは, 観測データの変動が連続的ならば未知情報の変動も連続的となるかどうか, 言い換えると, 二つの観測データの差が十分小さければ, 夫々に対応する未知情報の差も小さいかどうか, ということである. 実際の観測では誤差の混入は避けられない. そして安定性は, 誤差を含む観測データが与えられたときに, それに対応する未知情報が真の未知情報に十分近いかどうかを判断する一つの目安となる. 安定性評価の解析は, 観測データから未知情報を推測したときのその推測の妥当性を保証する上でも重要であると思われる.
|