微分方程式は自然現象を記述するだけでなく、様々な特殊函数を特徴付ける。このことから微分方程式の性質、特に解の無限遠での挙動など大域的性質を調べることは重要である。一方、完全WKB解析は微分方程式の解の大域的性質の考察に有効な手法である。このため、完全WKB解析の扱える範囲を広げることができれば、これまで扱えなかった自然現象の考察や特殊函数の解析などへの適用が期待できる。多変数超幾何系は基本的な多変数特殊函数を特徴付けており、さらに完全積分可能系の具体例であることから、完全WKB解析の扱える範囲を広げるために本研究の主題のひとつである多変数超幾何系を考察することは必要不可欠である。
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