研究実績の概要 |
Lax pairをもつ非線形常微分方程式のストークス幾何において共通に観測される普遍的性質を調べるため, 昨年度と引き続き, 4つのパンルヴェ階層を一般化した非線形システムのストークス幾何ならびに,その一般解の構造について研究した。結果を次の論文に纏めた。 「On the Stokes geometry of a unified family of P_J hierarchies (J=I,II,IV,34)」,「General formal solutions for a unified family of P_J hierarchies (J=I,II,IV,34)」 これらの結果は, 数理解析研究所で開催された国際研究集会, 代数解析奈良研究集会,いくつかのセミナーで発表した。 今年度は, 昨年度導出したシステムから付随する変形方程式とSchrodinger方程式の具体的な形を導出し, 一般化したシステムとパンルヴェ階層, 退化ガルニエ系との違いを明確にした。またパンルヴェ階層と変形方程式は同じで, Schrodinger方程式のポテンシャルにある変形を施した場合でも, 4つのパンルヴェ階層,野海山田方程式に共通して観測されてきた変わり点, ストークス曲線の幾何学的構造(a),(b)が保たれることを具体的に証明した。 (a)非線形の変わり点において, Lax pairの2つの変わり点が合流するという退化が観測される。(b)非線形のストークス曲線上の点ではLax pairの2つの変わり点がストークス曲線で結ばれる。
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次年度使用額の使用計画 |
29年度に, 当初の研究計画に従って, Y.Laurent氏を招聘し, 11月に国際研究集会開催する際, 研究費を使用させて頂く予定である。
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