今後の研究の推進方策 |
今回の研究、特に制御型Loewner-Kufarev方程式に沿ってGrunsky係数が線形微分方程式に従うという事実は、制御型Loewner-Kufarev方程式が可積分系の文脈の中で捉えられることを暗示しているように思う。この構造を意識して、(1) 制御型Loewner-Kufarev方程式の共形場理論の中での立ち位置として、どのように中心電荷を与えれば良いのかをN.Kawamoto, Y.Namikawa, A.Tsuchiya and Y.Yamada (1988), ``Geometric realization of conformal field theory on Riemann surfaces", (Comm. Math. Phys. 116, no. 2, 247--308)を参考に見ていく。(2) Malliavinのcanonic diffusionと呼ばれる、単位円周の向きを保つ微分同相群の`上の'拡散過程から、共形溶接問題を通して得られる単葉関数の発展を制御型Loewner-Kufarev方程式で記述したい。共形溶接問題に関してはL.P.Teoによって、可積分形である無分散戸田階層の構造で記述されることが知られているので、この研究の参考になると考えている。(3)さらには対応する単葉関数の像をシミュレーションすることで、制御型Loewner-Kufarev方程式の入力の滑らかさと解の滑らかさの間の関係を明らかにしていく。(4)研究代表者は、canonic diffusionに対応する制御型Loewner-Kufarev方程式はある種の界面の発展を記述しているだろうと予想している。そこで、同じものになるかはまだわからないが、単位円周上のKPZ方程式との関連を意識しながら研究していく。
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