研究課題
K.Marie氏との共同研究課題である「定常Gauss過程のlevel crossing汎関数のMalliavin解析における滑らかさ」を議論するために、より一般にtime-occupation汎関数の形で書けるクラスのWiener汎関数の滑らかさについて研究し、「定常Gauss過程の関数を時間に関して積分するという操作は、その被積分Wiener汎関数の滑らかさを少なくとも1/2だけ上げる」という成果を得た。確率微分方程式から得られる拡散過程の場合には、少なくとも1だけ滑らかさが上がるという、琉佳勳氏との共同研究成果と比較されるべきであろう。今回得られた結果は、この広いクラスに対して一様に成り立つ、という意味では最良だが、特にlevel crossing汎関数のみに注目すると、これはGeman条件から導かれるCramer-Leadbetterの結果より弱い。そこで次に、level crossing汎関数の伊藤-Wiener展開における各成分の二乗ノルムを具体的に計算するという方針で研究中である(新田奏絵氏との共同研究)。一般の定常Gauss過程についてこの計算を遂行することは難しいが、特に共分散関数をcosine kernelに設定すると、発散項の興味深いキャンセレーションが起きていることを、具体的な公式として発見することができた。確率微分方程式のGalois理論を構築しようと試みるときに、強い解を持たない文脈で現れる困難の一つは、考える確率空間を固定できないために解の変換群の自然な定式化がわからないことにある。その取り掛かりとして、「異なる確率空間上で定義された二つの解を、それぞれの確率微分方程式を駆動しているBrown運動同士を貼り合わせて山田-渡辺のcouplingを得る」という図式の射影極限として考える確率空間を固定し、そこで変換群を考えるという着想に至った。
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ALEA, Lat. Am. J. Probab. Math. Stat.
巻: 15 ページ: 703--753
10.30757/ALEA.v15-27