研究課題/領域番号 |
15K17565
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
野瀬 敏洋 九州産業大学, 工学部基礎教育サポートセンター, 特任講師 (90637993)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ニュートン多面体 / 振動積分 / 局所ゼータ関数 / トーリック・ブローアップ / 特異点解消 / 漸近解析 / 解析接続 |
研究実績の概要 |
ニュートン多面体に基づくトーリック・ブローアップについての考察、振動積分の漸近解析及び局所ゼータ関数の有理型関数としての解析接続についての研究を行い、九州大学の神本氏との共同研究により以下の結果を得た。 (1)2次元の振動積分について、相関数がある無限回微分可能関数の場合における振動積分の漸近挙動を調べた。これは相関数のニュートン多面体のコンパクトな面が1つの頂点のみの場合に対応しており、ニュートン多面体を用いず直接的に解析を行った。類似の結果としては、漸近挙動の評価がA. Iosevich-E. Sawyerにより得られていたが、より詳しく漸近極限の形で結果を得ることができた。 (2)2次元局所ゼータ関数が、特別な無限回微分可能関数の場合にはある点を越えて有理型関数として解析接続できないことを示した。これは(1)の結果の一部と対応するものであり、予想されていた結果が得られた。さらに一般的な状況での解析を行う計画である。 (3)無限回微分可能関数の零集合に対する、ニュートン多面体に基づく局所的なトーリック・ブローアップについて考察した。特に2次元の場合に、適当な複数のトーリック・ブローアップと座標変換の合成により、局所的な特異点解消の類似物を構成した。これは我々がこれまでに得ていた結果の改良であり、大まかに言うと、具体的に構成された変数変換によって、2変数の無限回微分可能関数が、具体的な単項式と原点においてフラットな(即ち、テイラー級数が零である)関数の和で局所的には表されることを示した。この結果は無限回微分可能関数と実解析的関数の違いを強く表すものであり、今後も広く応用されることが期待される。この応用として振動積分及び局所ゼータ関数の漸近解析において新しい結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究のテーマに関する研究成果をいくつか得ることができており、おおむね順調に進展しているといえる。特に、ニュートン多面体に基づくトーリック・ブローアップについての考察においては無限回微分可能関数と実解析的関数との差異が顕著に表れており、今後の応用が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに得られた結果の高次元への拡張及び調和解析における種々の問題への応用を考える。また、ニュートン多面体の主要面の安定性に関するDenef-Sargosの予想にも取り組む。 なお、これまでに得られた研究成果については未発表のものがあり、現在は研究と論文の執筆作業を同時進行させている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度における計画では、毎年夏に開催されていたシンポジウムへの参加を予定していた。しかしながら当該年度では開催されなかったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
情報収集のために研究集会への参加の旅費に充てる予定である。
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