1次元区間に縮退するダンベル型領域上で双安定反応拡散方程式を考え、区間上の極限方程式との解構造の比較を行った。極限方程式の非退化な安定定常解の近傍にダンベル型領域上の方程式の安定定常解が存在することがこれまでの研究で既に示されている。今年度の研究によって、これらの安定定常解の吸引領域が、ダンベル型領域の断面方向に平均をとるという作用によって関係づけられることが明らかになった。これにより、ダンベル型領域上の方程式の解の挙動が極限方程式のそれによって理解できることになる。 次に、極限方程式の定常解構造の研究を行った。特に、単調で対称な解から2次分岐を通じて現れる解の枝について考察した。方程式内のパラメータに関する適当な仮定の下、解の枝上にターニングポイントが存在しないための反応項に対する条件を見出した。また、反応項が特殊な3次関数で与えられる場合を考え、解を楕円関数を用いて表現することで解の枝がどの方向にのびるのかを検証した。この検証の過程で、定数解の枝につながらない解の枝が存在することが分かり、定常解全体の構造が非常に複雑であることが明らかとなった。 さらに、2次元全空間における双安定反応拡散方程式の解の界面の運動について考察を行った。初期値の空間遠方での振る舞いをうまく与えることによって、平面進行波解に局所的に漸近しつつも、平面進行波解から見たときの界面の位置が時刻のべき乗のオーダーで大きくなるような解が存在することを発見した。
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