研究課題
平成29年度は,Hamilton-Jacobi (HJ) 方程式のディスカウント近似(テーマ1)と,均質化問題(テーマ2)に現れる解の収束率に関して研究を進めた.また,平成28年度に導入した曲面の平均曲率流の解析を動機とした多層的界面方程式に関する基礎研究(テーマ3)を進めた.その結果,以下の成果を得た.テーマ1.HJ方程式のディスカウント近似に現れる収束問題は,近年,粘性解理論,弱KAM理論において国際的にも重要な課題として取り組まれている.本年度では,解の収束率に関して注目をして,部分的な解決を得ることに成功した.今後,この方向での研究の試金石としての役割を果たすことが期待できる.テーマ2.HJ方程式の均質化問題に現れる解の収束率に関して決定的な進展を得た.この研究では, Aubry-Mather理論との関連に注目をして,背後にあるハミルトン系の特性曲線と,有効的ハミルトニアンの正則性に関する結果を利用した.この結果,従来よく知られた同問題における収束率を大幅に改善し,一部の状況で,解の収束率の最適性を示すことに成功した.テーマ3.平成28年度に導入した多層的界面方程式に対して,等高面方程式を考え,粘性解の存在と近似問題に対する比較原理を示した.さらに特殊解を構成して,その特異性に関する解析をした.平成29年9月にカリフォルニア大学アーバイン校,ウィスコンシン大学マディソン校,同年10月に香港科学技術大学を訪問して,研究発表を行い,参加者と上記した研究内容と進展の可能性に関して討論をした.国内において8件の研究発表を行った.平成29年7月に京都の数理解析研究所で界面運動,力学系に現れる漸近問題に関する研究集会を主催した.定期的に開催をしている広島大学数理解析セミナーに講演者を依頼して,最新の偏微分方程式理論やその周辺に関する最新情報を収集することに努めた.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 9件) 図書 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Proc. Amer. Math. Soc.
巻: accepted ページ: accepted
10.1090/proc/14152
Calc. Var. Partial Differential Equations
10.1007/s00526-018-1359-1