研究課題/領域番号 |
15K17577
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
田中 視英子 東京理科大学, 理学部, 講師 (00459728)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 非同次な楕円型作用素 / 非線形固有値問題 / 解の正値性 / 符号変化解 |
研究実績の概要 |
$(p,q)$ ラプラシアンを含むような非同次な楕円型作用素を含む偏微分方程式の正値解の存在を示すために、必要となる強最大値原理では Pucci-Serrin による結果が良く知られているが、Pucci-Serrinの結果を適用できないような楕円型作用素でも適用できるような結果を D. Motreanu 氏との共同研究により得ることができている。Pucci-Serrin の結果は、具体的な方程式に対して適用できるか確かめるために少し苦労する場合があるが、我々が得られている結果は具体的な方程式に適用できるか確認することも易しくなっている。 この結果により、より一般な楕円型作用素を含む方程式の正値解の存在に成功している。また、楕円型偏微分方程式の解の正値性を得るために役に立つと思われる。
2014年から2015年にかけて、V. Bobkov 氏との共同研究において, $(p,q)$ ラプラシアンの第一固有値(Fucik)問題に対する正値解の存在・非存在の分類を行った。この経験から2015年10月にBobkov氏を招致して情報交換や意見の交換を行い、二つ目の研究を進めた。具体的には、最初の第一固有値問題の続きとなる第二固有値問題に対応する符号変化解の存在・非存在を決定することを試みた。その結果として、一部解析に成功した。今後は、未解決な部分の解析を続ける予定である。また、Bobkov 氏との共同研究で既に得られている、第一固有関数に対応する正値解の性質や特徴の解析を進める計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
$(p,q)$ ラプラシアンの第二以上の固有値問題は符号変化解の存在・非存在を決定することに対応するが、同次性のある単独な場合でさえも第三以上の固有値に関しては未解決であるため、複数の固有関数が複雑に現れて解析が難しくなり、未解決な部分が残ってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
以下のように研究を進めていく予定である。
1.既に得られている $(p,q)$ ラプラシアンの第一固有関数に対応する正値解の性質や特徴付けを行う。 2.$(p,q)$ ラプラシアンの第二固有関数に対応するような特徴付けを行い、それに基づいて符号変化解の存在・非存在の未解決な部分を解析する。 3.考えている領域の変化により、固有値がどのように変化するか解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
講演の為の旅費に使用する予定でいたが、金額が不足してしまったため、若干の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果を発表する為の国内旅費の一部分に充てる予定である。
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