研究課題/領域番号 |
15K17578
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石田 祥子 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任助教 (60712057)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ケラー・シーゲル系 / 解の有限時間爆発 / 解の有界性 |
研究実績の概要 |
平成29年度は準線形退化放物・放物型ケラー・シーゲル系に対する解の有界性と有限時間爆発について取り組み、これらについて論文をまとめ論文誌への掲載が決まった。以下、それぞれの研究内容について詳しく報告する。 解の有界性に関する研究は、全領域の場合と有界領域の場合では異なる手法が用いられていた。全領域の場合では「最大正則性原理」の利用により簡潔に証明されていたが、優臨界のときしか適用できていなかった。一方、有界領域の場合では劣臨界のときにも結果が報告されていたが、パラメーターの細かい設定など複雑な証明方法であった。そこで本研究では、劣臨界のときにどちらの領域でも最大正則性原理を用いることで簡潔に解の有界性を示すことができた。(横田智巳氏 (東京理科大学)との共同研究) 次に解の有限時間爆発について報告する。本研究の目的は2つある。1つ目はエネルギー解と定義される弱い解の「有限時間爆発」を示すことであり、2つ目は「準線形凝集項」をもつ問題を考えることである。この2つを同時に扱った先行研究は放物・楕円型ケラー・シーゲル系にもなく大変重要であるといえる。証明のアイデアは領域の分割にある。線形凝集項の問題では領域を単位円内部と外部の2つに分けていたが、本研究では単位円内部を未知関数がある定数以下とそれ以上の領域、単位円外部の3つに分けることで球対称エネルギー解の有限時間爆発の証明に成功した。(横田智巳氏、柱貴裕氏 (共に東京理科大学)との共同研究)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ケラー・シーゲル系に対する解の爆発の研究に関しては当初は放物・楕円型の研究をする予定だったが、研究の中で、より難しい放物・放物型での証明に成功した。進捗状況としては計画以上といえる。しかし、年度後半に体調を崩し、ケラー・シーゲル・ナヴィエ・ストークス系の研究を計画書通りに進められなかった。そのため、区分としては「おおむね順調」とした。年度末に開催されたchemotaxis系の研究に特化した研究集会「The 3rd international Workshop on mathematical analysis of chemotaxis」では横田智巳氏 (東京理科大学)からの開催資金援助もあり、幹事として関わることはなかったが、講演者として参加した。
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今後の研究の推進方策 |
ケラー・シーゲル・ナヴィエ・ストークス系の研究に取り組んでいく。具体的には高次元における可解性・解の挙動・解の爆発についてである。癌浸潤モデルについても計画書通りに進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までの未使用額約1,000,000円は、平成29年度末の国際研究集会「The 3rd International Workshop on Mathematical Analysis of Chemotaxis」を幹事の一人として開催し、外国人研究者を招集するための予算であった。しかし横田智巳氏(東京理科大学)からの研究費援助があり、実際には研究費の支払いをすることはなかった。本年度に請求した研究費はほぼ使い切っている。 未使用額は来年度以降に開催予定である国際研究集会「International Workshop on Mathematical Analysis of Chemotaxis」の予算や自身の国際学会旅費に充てたい。
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