研究実績の概要 |
[具体的内容]生物の「走化性」とは化学物質の濃度勾配に沿って生物が特定の方向に移動する性質であり, 細胞生物学や臨床病理学において重要な役割を果たしている. ケラー・シーゲル系は, この走化性を記述する数理モデルである. 2007年には流体の運動を記述するナヴィエ・ストークス方程式との系が提唱され, 現在においても活発に研究が進んでいる. 本年度はこれらの系を包括する「質量保存則をもつ放物型方程式 (parabolic equations with divergence form)」に対する解の安定性について論文にまとめた (Calculus of Variations and Partial Differential Equations, published online April 2022).本研究成果は, 横田智巳氏 (東京理科大学)との共同研究である.またこの結果は第47回 発展方程式研究会にて報告している. [重要性]これまで報告されていたケラー・シーゲル系, 癌浸潤モデル, ケラー・シーゲル・ナヴィエ・ストークス系に対する解の安定化を統一した方法で求められるようになったため, 応用上重要な意味合いを持つ.
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