研究課題/領域番号 |
15K17586
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
池上 大祐 東京電機大学, 工学部, 助教 (20747208)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 数理論理学 / 集合論 / ゲーデルのプログラム / 巨大基数公理 / 強制法公理 / 内部モデル理論 / 記述集合論 / ω_1の部分集合 |
研究実績の概要 |
この研究は、イタリアのトリノ大学に所属する Matteo Viale 准教授との共同研究である。巨大基数の存在下で、実数からなる普遍ベール集合は様々な良い性質をもち、その理論は記述集合論・内部モデル理論において重要な役割を果たす。平成27年度の研究では、無限基数κが与えられた時、P(κ) の部分集合に対する普遍ベール性を導入し、以下の成果が得られた:(1) P(κ) の部分集合に対する普遍ベール性について、a) 強制法の言葉、b) 木の言葉、c) 強制法絶対性と generic embeddings の言葉をそれぞれ用いて、3つの異なる特徴づけを与えた。(2) 巨大基数・強制法公理の仮定の下で、P(ω_1) の部分集合で L(P(ω_1)) に属するどんな集合も、弱い普遍ベール性を満たすことを示した。(3) κ=ω_1 のとき、巨大基数・内部モデル理論の仮定の下で、V の初等部分構造で濃度ω_1であり、かつω_1を部分集合として含むものを任意に取り、その Mostowski 崩壊を M としたとき、M が反復可能であることを witness する数学的構造として、P(ω_1) の部分集合で普遍ベールなものが取れることを示した。 上記研究成果により、交付申請書の「平成27年度の研究実施計画」に書かれたStep 1, Step 2のほとんどの部分を予定通りに達成できた。 平成27年の8月・9月に、上記研究成果について、アイザック・ニュートン研究所での研究集会とトリノ大学での研究集会で発表をした(下記「学会発表」を参照)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で記したとおり、交付申請書の「平成27年度の研究実施計画」で述べた計画のうち、ほとんどの部分を予定通りに達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
巨大基数の存在下で、P(κ) の部分集合に対して、普遍ベール性を、超フィルターの言葉で特徴づけ、普遍ベール性と無限ゲームの決定性の関わりについて調べる。さらに、普遍ベールな P(κ) の部分集合たちの間の連続還元性を調べる。上記の、普遍ベール性と無限ゲームの決定性との関わり・連続還元性の研究成果を用いて、普遍ベールな P(κ) の部分集合たちの複雑さを、順序数を用いて表現する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年の秋に、ケンブリッジのアイザック・ニュートン研究所に4か月ほど滞在する予定だったが、現在所属している大学へ助教として就職することになったため、上記研究所の滞在期間を2週間弱に短縮した。これにより、旅費として使用する予定だった研究費が大幅に余った。
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次年度使用額の使用計画 |
国際学会の参加・研究発表を1回、国内学会の参加・研究発表を2回、長期(2・3週間ほど)の海外大学での研究滞在を2回予定している。残った研究費はこれらの旅費として使う予定である。また、研究に必要な図書の購入にも使用する予定である。
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