研究課題/領域番号 |
15K17587
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
薄葉 季路 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (10513632)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 無限組み合わせ論 / 巨大基数 / リンデレフ空間 / パラコンパクト空間 |
研究実績の概要 |
Pκλ組み合わせ論に関しては以下のような結果が得られた。1.組み合わせ論的原理である非分岐原理UB_λに関して、イデアルの飽和性と移行原理に関する新たな結果が得られた。この結果をまとめた論文を国際雑誌に投稿した。2.反映原理FRPとSSRの分離に関する論文が国際雑誌に受理された。 集合論的位相空間論に関しては、次のような結果が得られた。1.リンデレフ空間と巨大基数の関係について、チェコで開催された国際研究集会において招待講演を行った。また、結果をまとめた論文が国際雑誌に受理された。2.初等的部分構造を用いた位相空間の無理数問題に関して、強い強制法公理と無矛盾であるという部分解答が得られた。この結果をまとめた論文を投稿した。3.新たな反映原理を導入し、パラコンパクト空間の反映性に関する未解決問題について部分解答を与えた。この結果をまとめた論文を現在準備中である。 巨大基数公理に関して、次のような結果が得られた。1.基礎モデルの下向きの有向性に関して、中国、京都での国際集会で発表を行った。また、この結果を含む一般向けの講演を日本数学会の企画特別講演として行った。2.選択公理がない状況下で、巨大基数公理から得られる既知の結果の改良を行った。この結果をまとめた論文を投稿した。3.選択公理がない場合でも、巨大基数が存在すれば基礎モデルが定義可能であることを示した。また、選択公理が強制可能であることの新たな特徴づけを発見した。この結果をまとめた論文を現在準備中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度より所属機関が変更になり、また助教から准教授に変更になったため講義および事務仕事が以前に比べ大幅に増加した。結果として研究に割く時間が大幅に減少し、計画に遅れが生じている。Pκλ組み合わせ論に関して、UB_λの結果の改良を行うこととに成功し、それによって定常集合の分割問題の部分解答、イデアルの飽和性の様々な特徴づけが得られ、また未解決の移行原理に関する部分解答が得られた。一方でUB_λの否定の無矛盾性は未だ未解決である。集合論的位相空間論に関して、反映原理とPκλ組み合わせ論を用いたパラコンパクト空間の研究を開始し、いくつかの結果は得られた。一方でUB_λの位相空間論への応用に関しては未だ果たせずにいる。巨大基数公理に関しては、基礎モデルの下向きの有向性が示せたことにより、基礎モデル全体の基本構造定理が得られただけでなく、巨大基数が基礎モデル全体の構造に与える影響が予想よりもはるかに大きいことが判明した。現在は選択公理がない状況で類似の結果が得られるかどうかを研究中であり、これについても巨大基数公理が影響を及ぼすことを示唆する結果が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
計画立案時にくらべ研究時間が大幅に減少したことが問題であるが、現在東京電機大学の池上大祐助教、および筑波大学の博士学生らと、Pκλの組み合わせ論性質に限定しない巨大基数、強制法に関しての週一回程度の打ち合わせを行っている。選択公理がない状況下での結果については、この打ち合わせによって得られた結果であり、この方面をより推し進めていく予定である。集合論的位相空間論に関しては、神奈川大学の一般位相空間論の研究者と月一回程度のゼミを行っている。パラコンパクト空間に関する結果はこのゼミで触発された結果であり、今後も神奈川大学の研究者と共同研究も視野にいれたゼミを行う予定である。また、神奈川大学の阿部吉弘教授とも可能な限りPκλ組み合わせ論に関する研究打ち合わせを行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
残金が少額であったため繰り越した。
|
次年度使用額の使用計画 |
物品費に使用予定。
|