準凸計画問題とは数理計画問題の一つであり、線形計画問題や凸計画問題では表現できない問題の解法を示すものとして近年大きな注目を集めている。一方、実用上の問題を数理モデル化する際には測定誤差等に起因するモデルの不確実性が生じ、その対応は重要な課題となっている。 本研究の目的は、不確実性を適切に捉え強固で安定的な解を得るための手法として、不確実性を持つ準凸計画問題に対するロバスト最適化を提案することである。研究期間全体を通じて、多目的最適化に対する双対定理、双対定理とその必要十分な制約想定、最適性条件と解集合の特徴付け、準凸関数の性質に関する研究などを行った。特に不確実性を持つ準凸ベクトル値最適化問題に対するsurrogate型双対定理の提案を行い、ベクトル値最適化問題に対するロバスト対応を提案した。具体的には不確実性を持つベクトル値最適化問題に対して、目的関数を集合値関数とするようなロバスト対応を提案し、集合値最適化に関する研究を用いて新しいロバスト双対定理を証明した。これまでベクトル値最適化におけるロバスト対応は様々な解釈があり手法が確定的になってはいなかったが、本研究における新しいロバスト対応は重要な手法の一つとなることが期待される。 また、平成29年度においては特に ・逆準凸計画問題に対する双対定理 ・準凸関数の和に関する研究 ・準凸計画問題の解集合の特徴付け ・準凸計画問題の制約想定 に関する研究を行った。
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