研究課題/領域番号 |
15K17592
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
中山 洋将 東海大学, 理学部, 講師 (00595952)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | グレブナー基底 / 計算代数 / 超幾何微分方程式 |
研究実績の概要 |
Lauricella 超幾何微分方程式系 F_B のグレブナー基底より, それら微分作用素たちの syzygy 加群を得ることができた. また F_B のグレブナー基底より F_B の自由分解を得ることができる. Kampe de Feriet 2 変数超幾何微分方程式系についても同様に, それら微分作用素たちの syzygy 加群を得ることができた. また Lauricella 超幾何微分方程式系 F_D のグレブナー基底を得ることができた. これらの結果については論文にまとめる予定である.
研究目的は, 多変数超幾何微分方程式系のグレブナー基底を理論的に求めることがあったが, Lauricella 超幾何微分方程式系 F_B, F_A, F_C のように容易に求められる例は, 計算実験や様々な計算により, あまりないことがわかった.
微分作用素環 D 上の自由加群上の各種計算アルゴリズム(generic b 関数, 制限加群, 積分加群, 特性多様体などの計算) が知られているが, それらを数式処理システム Risa/Asir に実装した. これは Quiver D-加群の計算実験のために作成したプログラムであるが, 多変数超幾何微分方程式系に対する計算実験にも使用できるので, 今後様々な計算を行う予定にしている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の目的にはなかったが, Lauricella 超幾何微分方程式系 F_B や Kampe de Feriet 2 変数超幾何微分方程式系について syzygy 加群や自由分解を得ることができた.
一方, 研究目的の 1 つとして, 多変数超幾何微分方程式系のグレブナー基底を理論的に求めることがあったが, Lauricella 超幾何微分方程式系 F_B, F_A, F_C のように容易に求められる例は, 計算実験や様々な計算により, あまりないことがわかった. そのため逆に考え, グレブナー基底を容易に求められるような超幾何微分方程式系はどのような特徴があるかを調べることに方針を変更したため, やや研究の進行が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
研究目的の 1 つとして, 多変数超幾何微分方程式系のグレブナー基底を理論的に求めることがあったが, Lauricella 超幾何微分方程式系 F_B, F_A, F_C のように容易に求められる例は, 計算実験や様々な計算により, あまりないことがわかった. 例えば, Horn の 2 変数超幾何微分方程式系のリスト中でも数例であった.
そのため逆に考え, グレブナー基底を容易に求められるような超幾何微分方程式系はどのような特徴があるかを調べることに方針を変更した. すべての項順序についてのグレブナー基底を調べるのに, 普遍グレブナー基底(universal groebner bases)やグレブナー扇(groebner fan)という概念がある. そこで, 多変数超幾何微分方程式系についてこの普遍グレブナー基底やグレブナー扇がどうなるかを調べ, 容易に計算できるグレブナー基底がないかを調べる. 微分作用素環の普遍グレブナー基底やグレブナー扇を計算するプログラムはあまり存在しないため, これらを計算するプログラムを作成する予定である.
微分作用素環 D 上の自由加群上の各種計算アルゴリズム(generic b 関数, 制限加群, 積分加群, 特性多様体などの計算) が知られているが, それらを数式処理システム Risa/Asir に実装している. 多変数超幾何微分方程式系に対して,これを用いて今後様々な計算を行う予定にしている.
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に計算機を購入する予定であったが, 現在所有している計算機をそのまま使用したため, その額を次年度に繰り越し最新の計算機を購入することにした.
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次年度使用額の使用計画 |
プログラムの開発, 計算機の実験をさらに進めるため, 高性能な計算機を購入する予定. 次の研究集会に出席する予定である. そのうちの幾つかで研究成果を発表する予定にしている. 日本数式処理学会(福岡大学), グレブナー若手集会(夏, 冬), 超幾何微分方程式研究会(神戸大学), Risa/Asir Conference(金沢大学)など. 次の関連分野の研究者を訪問し, 研究打ち合わせやセミナーなどを行う予定にしている. 高山信毅 教授(神戸大学), 野呂正行 教授(立教大学), 小原功任 準教授(金沢大学), 小山民雄 研究員(滋賀大学) など.
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