研究実績の概要 |
多変数超幾何微分方程式系のグレブナー基底を理論的に求めることがあったが、Lauricella 超幾何微分方程式系 F_B, F_A, F_C のように容易に求められる例は、計算実験や様々な計算により、あまりないことがわかった。そのため逆に考え, グレブナー基底を容易に求められるような超幾何微分方程式系はどのような特徴があるかを調べることに方針を変更した。
その一例として Appell 2 変数超幾何微分方程式系 F_1, F_2, F_3, F_4 の一般化の一種である (k,l)_D, (k,l)_A, (k,l)_B, (k,l)_C 2 変数の微分方程式系(高山 1984)について計算を行った。これらについて、Lauricella 超幾何微分方程式系のグレブナー基底を求めた手法を使って、 (k,l)_A, (k,l)_C については形式べき級数係数微分作用素環におけるイデアルのグレブナー基底を求めることができた。(k,l)_B については、多項式係数微分作用素環におけるイデアルのグレブナー基底に関して予想を立てることができた。この微分方程式系の多変数版についても考察を行った。
上記の計算実験を行うため、微分作用素環上の各種計算アルゴリズム(特性多様体、特異点集合、微分作用素環での Mora の割り算などの計算) を数式処理システム Risa/Asir に実装した。これらの作成したプログラムは公開する予定にしている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多変数超幾何微分方程式系のグレブナー基底を理論的に求めることがあったが、Lauricella 超幾何微分方程式系 F_B, F_A, F_C のように容易に求められる例は、計算実験や様々な計算により、あまりないことがわかった。そのため逆に考え, グレブナー基底を容易に求められるような超幾何微分方程式系はどのような特徴があるかを調べることに方針を変更したため、進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Appell 2 変数超幾何微分方程式系 F_1, F_2, F_3, F_4 の一般化の一種である (k,l)_D, (k,l)_A, (k,l)_B, (k,l)_C 2 変数の微分方程式系(高山 1984)について計算を行い、これらの一部についてグレブナー基底が得られている。これら微分方程式系に関して、特性多様体や特異点集合などを得られたグレブナー基底を用いて考察を行う。これら微分方程式系の多変数版についても同様の議論が行えるので、それらについても考察を行う。
次の研究集会に出席する予定である。そのうちの幾つかで研究成果を発表する予定にしている。 日本数式処理学会、グレブナー若手集会、超幾何微分方程式研究会、Risa/Asir Conference など。
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