研究実績の概要 |
多変数超幾何微分方程式系に対応する微分作用素環のイデアルで, グレブナー基底が理論的にわかるようなものとして Lauricella 超幾何微分方程式系 F_B がある. またグレブナー基底を計算する時の単項式順序を, 特殊な局所順序にすれば F_A, F_C の場合もグレブナー基底がわかる. これと同様の手法を用いて, 理論的にグレブナー基底がわかるものをいくつか見つけることができた. 1 つは Kampe de Feriet の 2 変数超幾何微分方程式系のパラメータが特殊なものの場合である. もう 1 つは, Horn の 2 変数超幾何微分方程式系を一般化したもので, 高山氏が定義した (k, l)_B, (k, l)_A, (k, l)_C というものである. ただし, (k, l)_B については計算機実験により, グレブナー基底は予想ができているが証明はまだできていない. また (k, l)_A, (k, l)_C のグレブナー基底については, Lauricella F_A, F_C の場合と同様に局所順序についてのグレブナー基底である. こうして得られたグレブナー基底により, 微分方程式系の特性多様体, ホロノミック性, 特異点集合が計算できる場合があり, (k, l)_B のいくつかの例について計算を行った. さらに (k, l)_B は 2 変数微分方程式系であるが, それを n 変数に一般化した特殊な場合 (2, 2, ...., 2)_B についてグレブナー基底を得ることができた.
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