研究実績の概要 |
実際の風向データを眺めていると、風速が小さいときには風の向きに特徴がなく(一様)、風速が大きいときにはある一定の方向に集中しやすい傾向がある。また風向の集中度は時間に依存する、と考えるのが自然である。このようなデータに対応するために、我々はWehrly & Johnson(1980)のモデルの集中パラメータに時間依存性を組み込んだ、circular Markov過程におけるモデルを作り、漸近最適推測理論の研究を進めた。より具体的には、周期自己相関関数の標本周期自己相関関数を考え、漸近正規性を示しし、推定量の性質を確かめるべく、シミュレーションにより自己相関関数を推定した。他にも、スペクトル密度関数を陽な形で与えた(Abe, Ogata, Shiohama, & Taniai, 2017) これとは別の方向の研究として、シリンダー分布の生成についても研究を進めた。Aakala et al. (2016)でデータ解析をしている際、シリンダー分布(角度と長さを組にした分布)が必要とされているにも関わらず、既存のシリンダー分布は非常に複雑であったり、分布の形状の柔軟性に欠け、実用的でない問題がある。Abe & Ley (2017)では既存の手法とは異なる観点から、Weibull分布とsine-skewed von Mises分布を組み合わせ、上の問題点を克服するようなシリンダー分布(WeiSSVM分布)を生成した。また、その分布族の乱数生成、パラメータ推定を考えた。様々な状況での挙動を調べるために、いくつかのシナリオの下でのシミュレーションを行い、それに関しての考察を与えた後、実際のデータを用いて、どのくらい当てはまりが良いか考察した。さらに、これらについて国内・国外の研究会・国際会議で研究発表を行った。
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