研究課題/領域番号 |
15K17595
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
物部 治徳 明治大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20635809)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 界面方程式 / 進行波解 |
研究実績の概要 |
細胞は「膜」を持っており、その形状はさまざまな要因で決定される。一般的に、膜には「厚み」が存在するため、形状の曲がり具合(曲率)には限りが存在し、膜同士が自己交差することは現実では起こり得ない。一方で、膜、ゴムなどのソフトマターの形状変化を微分方程式で記述する場合、その多くは厚みを無視した超曲面と理想化して微分方程式で記述されることが多い。従って、膜の厚みが運動に与える影響は考慮されないことが多い。このため、膜の運動に関する数理モデルの中には、初期値やパラメータに依存して自己交差が生じてしまうものが多く存在する(平均曲率流方程式など)。 本研究では、細胞膜を念頭に置き、ソフトマターの形状変化の微分方程式の構成と解析を行う。 特に、超曲面が自己交差を起こさないための十分条件を探し出すこと、また、細胞膜など「厚み」を持つ曲面の運動を記述する微分方程式の構成を研究目的とする。本年度は、自己交差を起こさない界面方程式の導出を行うため、界面の「厚み」を考慮する前に、まずは外力項付きの曲率流方程式において面積保存するような解が存在するか、また存在する場合は外力にどのような条件が必要であるかを調べた。具体的には、Jordan曲線によって構成される進行波解の存在およびその条件を調べた。結果、外力項が定符号や符号変化した場合においても、進行波解が存在することを確かめた。また、これらの解は存在すれば全て凸になることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外力を持つ曲率流方程式の特殊解(進行波解の存在)は広い範囲で確認することが出来た。しかしながら、時間発展する解に対しては、界面が自己交差を起こさないようにするための条件が未だに予想出来ていない。このため、当初の計画よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は面積保存をする進行波解を構成したので、適当な保存量を入れたとき界面方程式がどのような挙動を示すのか引き続き解析を行う。また、本年度は界面方程式のシステムを構成することで目的が達成出来ないか再度、考察を続ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画より進展が遅れていたり、また他の仕事等によりスケジュールが合わなくなったため、研究集会等に出向くための時間を計画通りに確保出来なかったことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
国内や国外の研究集会に参加して、界面方程式に関する最新の情報の収集を行う。
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