研究課題
惑星は、原始惑星系円盤とよばれるガス円盤の中で固体物質が付着成長することによって形成されると考えられている。本研究では、特にこの合体成長途中の固体物質の観測的制限を目標としていた。我々は本研究で、ミリ波偏光観測に着目した。従来、原始惑星系円盤のミリ波偏光は未検出であったが、日本も大きく貢献している国際協力によって建設された電波望遠鏡 Atacama Large Millimeter/submillimeter Array (ALMA) の登場による飛躍的な性能向上のため、原始惑星系円盤のミリ波偏光検出が期待されていた。このような中我々はまず、従来考えられていなかったダスト散乱による偏光が検出可能であること、その結果からダストの大きさを制限できることを理論的に提唱した(Kataoka et al. 2015)。本年度は特に、ダスト制限に必要な波長依存性を示すため、原始惑星系円盤HL Tauのミリ波偏光を多波長で観測した。その結果、非常に強い波長依存性を証明した(Kataoka et al. 2017)。これは、ここからダストサイズを制限したところ、最大サイズが100ミクロン程度であることがわかった。これは、従来考えられていたミリメートルやセンチメートルサイズのダストに比べて有意に小さく、原始惑星系円盤のおもな放射を出しているダストは実は衝突破片のような残骸物を見ている可能性を示唆した。この結果は、従来の観測をベースにした惑星形成論に大きな修正を要求するものとなった。
すべて 2017 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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