研究課題
[銀河面サーベイデータの完成] 本年度は、すでに完了していた南天銀河面の若い大質量星形成領域の分子雲サーベイデータに加え、北天銀河面の野辺山45m望遠鏡を用いた分子雲サーベイ(FUGIN計画)が完了、北天の過去にない高分解能・広域・無バイアスの分子雲マップを完成させた。これを用いて、SpizterバブルN18, RCW166, M16, W51等で分子雲衝突の証拠を発見、論文準備中である。[その他の新規観測] ALMAを用いたRCW38の超高分解能観測を実施した。データは現在解析中であるが、衝突分子雲の詳細構造が世界ではじめて明らかになると期待できる。[分子雲データ解析:数値計算との比較] 三裂星雲M20およびオリオン星雲星団ONCの分子雲データ解析を行うと共に、数値計算結果と比較し、分子雲衝突に特有の構造である「衝突分子雲間の相補的な空間分布」「乱流起源の中間速度成分」の存在を明らかにし、これら領域での分子雲衝突による大質量星形成仮説を強く裏付けた。M20は論文を投稿・出版、ONCは論文を現在投稿中である。[成果発表] M20の分子雲衝突論文を出版した。また、SpitzerバブルS36における大質量星形成の状況を明かした論文を投稿・受理された。2つの海外での国際研究会で成果発表した(JCMT Users meeting 2017/上海, VIALACTEA2017/ローマ)。2つの国内研究会(「星間物質ワークショップ」「あかりサイエンスワークショップ」)にて招待講演を行った。また、2つの分子雲銀河面サーベイ関連の研究会を主催し(「銀河系内CO広域サーベイ計画 (2017/1/19-20; 野辺山)」「FUGINワークショップ2016 (2017/3/28-29; 野辺山)」)、現状報告をすると共に将来展開について活発な議論・意見交換を実施した。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題で挙げた当初目標のうち「銀河面サーベイによる若い大質量星形成領域の分子雲データの入手」「数値計算との比較による分子雲衝突の物理過程の理解」の2つを完了した。また、その他の「衝突分子雲の超高分解能観測」はALMAを用いたRCW38への観測が実施され、現在データ解析中である。「統計研究による分子雲衝突モデルの完成」は、完成したデータを用い現在推進中である。すでに10以上の領域で分子雲衝突の証拠を掴み、現在、さらなる解析を進めており、29年度には複数の論文として出版する予定である。また、2本の主著論文が出版ないし採択された。以上から、ほぼ研究計画どおりの進展であると評価できる。
最終年度であるため、研究課題のまとめを中心に進める。課題は「データ解析」と「成果発表」に集約される。[データ解析] これまでに入手したデータを解析し、個々の領域における分子雲衝突の様子を明らかにする。また、それらを相互比較することで、分子雲衝突の進化モデル、大質量星形成を決定付けるパラメータを明らかにする。[成果発表] 以上の研究結果を論文として執筆・出版する。本年度の主な作業となる。また、国内・国外の研究会・学会にて成果発表すると共に、記者発表を通じた社会への研究成果の発信を行う。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
The Astrophysical Journal
巻: 835 ページ: -
10.3847/1538-4357/835/2/142
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