研究課題
初期宇宙における巨大銀河形成の物理はまだ謎の多いプロセスである。大質量銀河を短時間で形成した後すぐに星形成活動を停止し、その後長期にわたって止めたままにしておく物理プロセスは多くの議論があるものの、未だ理解が進んでいない。本研究はこの問題に対して複数のアプローチで挑んでいる。(1)赤方偏移2の原始銀河団の詳しい解析、(2)広くて深い多波長撮像データを用いた統計解析、さらに(3)Hyper Suprime‐Cam(HSC)のさらに広いデータを用いた統計解析の3つのアプローチである。今年度はこの2つめに大きな展開があり、エフォートのほとんどをそこに集中した。一つは赤方偏移4の銀河の質量・サイズ関係を静止系可視光で初めて明らかにしたことである。驚くべきことに大質量銀河のサイズ進化は赤方偏移4に至っても顕著に見えていて、その時期の大質量銀河は有効半径1kpc以下と非常にコンパクトであることがわかった。これは当初の目的の一つである、銀河形成モデルを制限する上で非常に強力であり、シミュレーションとの比較を今後進めていきたい。また近赤外分光フォローアップ観測も進み、赤方偏移3.87に今まで知られている最遠方の星形成を止めた大質量銀河を確認した。赤方偏移の決定にはまだわずかの不定性があるが、ほぼ間違いないと考えている。さらにこういった星形成率の低い大質量銀河が、実際にほとんど星を作っていないことのより直接的な証拠として、ALMAを用いたダスト放射を探る観測も採択されている。一方(3)のHSCを用いた解析も進めているが、赤方偏移4を越えるような有力候補を見つけるには至っていない。全体的に(2)のアプローチにおける進捗が大きかった年度である。現在進行中の観測プログラムもあるなど、まだまだ発展が期待でき、本科研費が終わっても研究を続けて結果を論文化し、研究成果を発表していくつもりである。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 10件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件)
arXiv
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