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2015 年度 実施状況報告書

ALMA偏波観測で明らかにする低光度活動銀河核のブラックホール降着流

研究課題

研究課題/領域番号 15K17619
研究機関国立天文台

研究代表者

永井 洋  国立天文台, チリ観測所, 特任准教授 (00455198)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード超巨大ブラックホール / 活動銀河核 / 質量降着現象 / ミリ波サブミリ波偏波観測 / アルマ / VLBI
研究実績の概要

本研究の目的は、近傍宇宙に多く存在する低光度活動銀河核の活動性の起源を調べるべく、ミリ波サブミリ波帯でのファラデー回転の観測によって、超巨大ブラックホールへの質量降着率を明らかにし、ブラックホール降着流の理論モデルとの比較を行うことである。平成27年度は、4月に投稿締め切りを迎えたアルマ・サイクル3に観測提案を行った。近傍の低光度活動銀河核(低光度のセイファートタイプ活動銀河核)の一つであるCentaurus Aを狙った観測が最優先課題として採択された。同天体は自身のサイクル2提案でも採択されていて、年度末に観測データが配信され、結果の初期調査を始めた段階にある。

アルマデータの論文化にあたっては、偏波観測データの注意深いキャリブレーションが必須となる。そのため、アルマサイエンスベリフィケーションとして公開されているデータを用いて、アルマの偏波性能の評価やキャリブレーションの精緻化を目的とした準備研究を行った。この準備研究によって、本研究を行うのに必要なキャリブレーション精度が達成される見込みが十分あることを確認した。この研究成果を3月にAstrophysical Journalに投稿した(申請者が筆頭著者)。

また、低光度活動銀河核/電波銀河NGC 1275のサブパーセクスケールの電波構造に関する研究成果を、イタリア・リッチオーネで行われた国際研究会、5th Workshop for the CSS-GPS Radio Sourceにて口頭発表を行った(平成27年5月)。研究会集録は査読付き論文として出版された(Nagai, H. et al. 2016, Astronomische Nachrichten, Vol.337, Issue 1-2, p.69)。また、この研究をもとに、アルマを含めた国際ミリ波VLBIネットワークの観測提案の準備を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初研究計画では、第1段階として、アルマ・サイクル2観測データを用いて、Centaurus Aの巨大ブラックホール降着流の状態を明らかにし(以降、研究①と呼ぶ)、続いて第2段階として、光度の異なる近傍低光度活動銀河核5天体を観測して、銀河核の活動性の違いと降着率との関係を明らかにする研究を予定していた(以降、研究②と呼ぶ)。研究②に必要なデータは、アルマ・サイクル4で観測提案するとしていた(平成28年4月21日締め切り)。
平成27年度は、研究①に必要なサイクル2のデータ解析を進めていることを想定していた。しかし、サイクル2の運用状況の変化に伴い、想定よりも半年遅く、平成27年3月に観測データが届いたため、研究の着手が遅れた。この遅れが発生した間、アルマ偏波基本性能の評価やキャリブレーション評価の精緻化を目的にした準備研究を、アルマ・サイエンスベリフィケーションデータを用いて行った。
サイクル3プロポーザルの募集締め切り時点で(平成27年4月)、研究①に必要なサイクル2の観測が実行されるかどうか不透明だったために、同じプロポーザルをサイクル3にも提案した(最優先課題として採択)。なお、当初研究計画では、サイクル3で追加データが入手できることは想定しなかったので、予想よりも質の高い研究を展開できると考えている。サイクル3の観測データの一部は、平成28年度4月に配信された。残りの観測も平成28年4月19日時点で実行済みで、品質保証のプロセスを経て、3か月以内にはデータが届く見込みである。

今後の研究の推進方策

平成28年度は研究①に必要なサイクル2・3の観測データ解析を中心に作業を進め、年度末頃投稿を目標に論文化を進める。研究②は、当初、サイクル4で観測提案し、平成28年・29年度の2年間で完成させることを想定していた。しかし、先に述べたように、研究計画の進捗の遅れがあり、研究①での成果が出ていない段階で、研究②への観測提案に進むことが難しいため、サイクル4で予定していた観測提案を、平成29年度に公募が行われるサイクル5に遅らせることを予定している。サイクル5の観測提案が無事に観測が採択されたとしても、観測データが配信されるのは、早くて平成29年度後半になり、すべての研究をアルマのデータを用いて遂行することが難しい可能性がある。解決策として、アルマ以外の望遠鏡で取得したデータで補うことを検討している。

次年度使用額が生じた理由

想定よりも旅費が少なく済んだ。

次年度使用額の使用計画

28年度に参加予定の国際研究会に充てる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] ASIAA(台湾)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      ASIAA
  • [国際共同研究] The Istituto di Radioastronomia of INAF(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      The Istituto di Radioastronomia of INAF
  • [雑誌論文] Nature of radio feature formed by re-started jet activity in 3C 84 and its relation with γ-ray emissions2016

    • 著者名/発表者名
      Nagai, H., Chida, H., Kino, M., Orienti, M., D'Ammando, F., Giovannini, G., Hiura, K.
    • 雑誌名

      Astronomische Nachrichten

      巻: 337 ページ: 69, 72

    • DOI

      10.1002/asna.201512267

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] ALMA Science Verification Data: Millimeter Continuum Polarimetry of the Bright Radio Quasar 3C 2862016

    • 著者名/発表者名
      Nagai, H., Nakanishi, K., Paladino, R., Hull, C. L. H., Cortes, P., Moellenbrock, G., Fomalont, E., Asada, K., Hada, K.
    • 雑誌名

      Astrophysical Journal

      巻: 未定 ページ: 未定

    • DOI

      TBD

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Long-term Radio and Gamma-ray Properties of 3C 842015

    • 著者名/発表者名
      永井 洋
    • 学会等名
      5th Workshop on Compact Steep Spectrum and GHz-Peaked Spectrum Radio Sources
    • 発表場所
      Riccione, Italy
    • 年月日
      2015-05-27 – 2015-05-29
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-03-01  

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