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2015 年度 実施状況報告書

磁気双極子モーメントを通じた陽子ハロー構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K17623
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

長江 大輔  国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 協力研究員 (60455285)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード回転磁場
研究実績の概要

本研究の目的は陽子ハロー構造が示唆されるリン同位体の基底準位磁気双極子モーメントの符号をβ-NMR法を応用して系統的に決定することで陽子ハロー構造の有無や核構造にせまることである。当該年度は符号決定に必要な回転磁場発生装置の整備、ならびに目的となる原子核の生成方法の探索を中心に行った。
回転磁場を発生するには同等の性能を持つ二つのコイルが必要であり、かつ二つのコイルの軸が90度に交差している必要がある。また偏向度が高い回転磁場を発生させる為には各コイルから発生する高周波磁場の振幅が同じであり、かつ位相に90度の差が必要である。コイルが幾何学的に90度で交差するような治具は所有しており、印加する高周波電流の振幅・位相の調整ができるよう、必要な機器を購入し、回転磁場発生装置の整備を進めた。
目的とする原子核30PについてSi、SiO2標的を用いた陽子共鳴吸収反応による生成量、純度の調査を筑波大タンデム加速器施設のタンデトロン加速器を使用して行った。陽子ビームのエネルギーは460keVと860keVの二つである。どちらの標的を用いても十分な量の30Pの生成ができたが、860keVのビームエネルギーでの生成量は460keVの生成量に比べて約5倍多い結果となった。得られた生成量を入射した陽子ビーム量で規格化したものは文献値とほぼ一致した。純度はSiO2標的を用いたほうがSi標的を用いて得た純度よりも高く、SiO2標的で得られた純度は十分な量であった。同じ標的でも860keVのビームエネルギーより460keVの純度が二倍程度高い結果であった。以上より、SiO2標的が30Pの生成について有利であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該年度は基底準位磁気双極子モーメントの符号決定に必要な回転磁場の高偏向度化、β-NMR装置のアップグレード、磁気双極子モーメントの絶対値が既知である28Pの符号測定がテーマであった。回転磁場の高偏向度化では高周波の振幅調整機構の整備を行ったが、高周波発振器の整備には至らなかった為、回転磁場の高偏向度化は当初の計画より遅れている進行具合である。28Pの符号測定を行うことができなかったが、次年度に予定していた効率的な核スピン偏極した30Pの生成方法の探索を行い、陽子共鳴吸収反応での生成量、純度が十分であることが分かった。

今後の研究の推進方策

28P、30P、28Alの磁気双極子モーメントの符号測定を筑波大タンデム加速器施設にて行い、軌道角運動量期待値とスピン期待値を導出し陽子ハロー構造の知見を得る。核スピンが偏極した28P、30P、28Alは偏極陽子または偏極重陽子ビームを試料に照射して生成する。生成した偏極不安定核に対し、速い断熱通過法を利用したβ-NMR法を適用させ、符号測定を行う。β線を測定する検出器や静磁場用電磁石などのβ-NMR装置の基本的な部分は筑波大で所有しているが適宜整備アップグレードする。

次年度使用額が生じた理由

β-NMR装置の筑波大タンデム加速器施設のビームラインへの接続タイミングが当初予定していた時期にはできない事情が発生し、これに合わせて真空配管部品の購入時期を遅らせた為。またβ-NMR装置の整備より回転磁場の高偏向度化に重点をおき研究を進めた為。

次年度使用額の使用計画

より高偏向度な回転磁場を得る為に当初計画していた通り一つの高周波発振器から二つの高周波を発振させ、これらの間に自由に位相差を持たせることのできる機能を有する新たな高周波発振器の購入を検討している。β-NMR装置装置をビームラインへ接続するための真空配管・機器を購入する予定である。またβ線を測定する検出器等のβ-NMR装置は筑波大で所有しているが整備、アップグレードに伴う必要な物品等を購入する。その他に不安定核を生成する為の標的、コイル作成用部材を購入、国内外の研究会参加費、旅費等に使用を考えている。

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公開日: 2017-01-06  

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