1)格子ゲージ理論における非可換渦。一般に超伝導体に磁場を印可すると量子渦が生成されるが、QCDにおけるカラー超伝導体の場合には、非可換な内部自由度のために、磁場中で非可換渦と呼ばれる特異な量子渦が生成される。本研究では、格子ゲージ理論の数値シミュレーションを実行し、カラー超伝導体中の非可換渦の性質を調べた。まず、単一の非可換渦が存在する場合に、非可換渦の証拠となる分数トポロジカル電荷を確認した。さらに、複数の非可換渦が存在する場合の空間分布から、渦と渦の間には斥力が存在することを明らかにした。本研究内容は、学術誌Progress of Theoretical and Experimental Physicsに出版され、台湾で行われた国際会議で招待講演を行った。
2)強磁場下におけるハドロンの変形。ハドロンを構成するクォークは荷電粒子であり、外部の電磁場の影響を受ける。特に、強磁場下におけるハドロンの性質の変化は、原子核衝突実験や中性子星現象論の観点から重要である。本研究では、ハドロン中のクォーク密度相関によってハドロンの形状を定義し、それが強磁場中でどのように変化するかを調べた。数値計算の結果、ハドロンは磁場の方向に沿って長く伸びることが明らかになった。また、種類の異なるハドロンの結果を定量的に比較することによって、変形の理由を直感的に理解できるように考察を行った。本研究内容は、学術誌Progress of Theoretical and Experimental Physicsに掲載決定済みである。
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