研究課題
本年度は、Dragontrail Xを用いた試作小型鏡を、2.0mm厚、1.3mm厚そして0.7mm厚の３種類を作成し評価テストを実施した。ここから0.7mm厚は耐久性が足りないことに加え、十分な精度にて鏡面を作成するのは難しく、採用は厳しいことが判明した。また、1.3mm厚に関しても、3cmの100gの玉を50cm上から10回落下させる一番厳しい条件の耐久性試験では、前年度と同じく50μm以上の変形が見られた。この条件は要求仕様を超えたものではあるが、安全を考慮し2.0mm厚が必要との結論を得るに至った。また、大きさで辺-辺の幅1.5mの六角形の形状を持つfull sizeの分割鏡の鏡面精度測定として、点光源を曲率半径ほど離れた距離に置き、その反射光が結ぶ像を解析して鏡面精度を評価する『2f法』を採用し測定環境を整えた。反射像の大きさは1mm以下の精度（要求値：33.3mm以下）、鏡の曲率半径は0.2m以下の精度（要求値：56.0-58.4m）にて評価可能なシステムを構築した。加えて、full sizeの分割鏡にてステンレス製の周辺枠の主要部分の厚さを3mmから1.5mmに変更し10%程度(~4kg)の軽量化も施した。この構造にて屋外での使用に際して性能劣化しないことを確かめるために、恒温槽を使った温度変化加速試験(25日間で－20℃から40℃を計65サイクル)と、冬から夏にかけての約半年間の屋外暴露試験を実施し、それぞれの環境試験前後で鏡面精度に有意な劣化が見られないことを2f法により確認した。本研究から確立した2f法による鏡面精度測定は、現在大量生産中のCTA大口径望遠鏡用分割鏡の品質管理測定の標準方法として用いられており、既に300枚以上の鏡の測定を実施し現在も継続中である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 謝辞記載あり 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
AIP Conference Proceedings
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10.1063/1.4968961
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