研究課題/領域番号 |
15K17645
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松崎 真也 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20377956)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | LHC実験の新物理 / 質量の起源 / 複合ヒッグス模型 / 強結合ゲージ理論 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、実施計画に沿って、質量の起源に関連する複合ヒッグス模型が予言する複合粒子のLHC実験におけるシグナルの提唱と解析に従事した。年度の前半は特に、ウォーキングテクニカラー理論が予言する複合ベクトル粒子に焦点をあて、事前に発展させていた有効模型の解析方法に基づき、LHC実験における具体的なシグナル事象を検証した。この研究の結果、6月にLHC実験から報告された現在の一大ブームとなっている新粒子の存在可能性のヒントを説明することに成功し、その成果を数々の学術論文で発表した (Phys.Lett.B750, Mod.Phys.Lett.A31, Nucl.Phys.B904)。特筆することとして、この研究は理論研究者におけるこの一大ブームの火付け役となったものであり、現在までに論文引用回数が総合で80回を超えているほど、業界に大きなインパクトを与えているものである。さらに、LHC実験グループにも評価され、特にLHC実験の本拠地である欧州原子核研究機構で11月に開催された研究会では、この研究の代表者として招待され、講演を行った。 年度の後半は、同模型の複合擬スカラー粒子に焦点をあて、そのシグナル事象を解析することに従事した。その結果、12月に実験から報告された更なる新粒子の存在可能性のヒントを説明することに成功し、その成果を学術論文に発表した(Mod.Phys.Lett.Aに掲載予定)。この論文は現在までに既に100回を超えるほどの引用回数を獲得しており、業界に大きな影響を与えている。 また、LHC実験に沿った現象論の研究の他に、大きなフレーバー数を持つ強結合ゲージ理論に関する新しい理解などの純理論的研究成果も挙げている(JHEP 1512)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた研究計画のうち、ウォーキングテクニカラー理論に基づく複合ヒッグス模型のLHC実験における検証の準備は順調、むしろ予想以上に進展させて実施できているが、トップクォークの質量に強く関連したトップクォーク凝縮模型に関する現象論に関しては遂行できていない。この理由として、平成27年度にLHC実験から予期せず報告された2つの新物理のヒントに対し、前者のウォーキングテクニカラー理論に基づく複合模型による解釈にまず焦点を当てて実験の進捗と並行して研究を進めたため、後者の模型に基づく解析を行うまでのコストを分配するのが困難であったことが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後もLHC実験から報告されるデータを考察し、その進捗に臨戦態勢で対応し、質量の起源に関する複合ヒッグス模型の現象論を展開する。27年度では至らなかったトップクォーク質量との相関した複合模型の解析も行う。また予定計画に従い、フレーバー物理の現象による複合ヒッグス模型検証のヒント、さらに複合ヒッグス粒子と標準模型のヒッグス粒子の相互作用の強さに関する精密な違いの検証方法も考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外への研究会への参加(11万円程予算)を予期せぬ事態が生じた為にキャンセルしたことが原因と思われる。
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次年度使用額の使用計画 |
現在遂行中の研究内容を他の研究者にも理解してもらい、共同研究に発展させ、頻繁な研究打ち合わせを行い、その成果を発表するために多くの研究会、特に海外での研究会へ参加することで次年度に消費する予定である。
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