カナリア諸島テネリフェ島で、1台目のCTA大口径望遠鏡の焦点面検出器の性能試験を数ヶ月かけて行った。概ね期待通りの性能を見せたが、いくつか問題が見つかった。その後直ちに日本でその問題の原因究明を行い、望遠鏡に搭載する前に解決できたのは重要な成果である。また、ラパルマ島の望遠鏡建設地に、電源システムと、データ収集および解析の為の計算機センターを導入し、それらの試験を行った。さらに、CTA大口径望遠鏡の2-4台目の読み出し回路ボードの量産を行った。1100枚のボードを量産したが、それらの性能評価ができるシステム(ハードウェアおよびソフトウェア)を開発し、製造業者に渡した。製造後直ちに性能評価をしてから納品してもらった。 MAGIC望遠鏡によるDragonflyパルサーの観測データを解析した。低エネルギー領域に特化した解析方法を確立した。データ収集システムの予期せぬ振る舞いにより、想定外の時間がかかっが、現在最終解析が進行中である。 CrabパルサーのGeV領域フレア現象に注目し、パルサーの放射機構に迫ることを試みた。Moving Blobモデルに基づき、GeV領域フレア時にCTAによりCrabパルサーを観測するとどのような信号が期待されるか、シミュレーションスタディした。GeVフレアに伴い、10-100TeV領域でもフレアを起こすはずで、衛星によるGeV観測と、CTAによるTeV観測を合わせることで、Blobの物理特性が高い精度でわかり、パルサー風の物理に大きな知見を与えることがわかった。結果は国際会議VGGRS2017にて、招待公演として発表した。
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