研究課題
本研究では、フェロイック物質におけるドメイン境界に着目をし、そこにおいて発現する特異な物性の評価および外部刺激に対する応答を観察することを目的に研究を行った。強弾性体であるチタン酸カルシウム(CaTiO3:CTO)に対して一軸性の応力を印加し、ドメイン境界構造の変化を観察するために、応力印加装置を自作した。この装置を用いて応力を印加することで、ある臨界応力を超えると新しいドメイン境界が発現することを明らかにした。光第2高調波顕微鏡(SHGM)で観察を行うことにより、この新しく発現したドメイン境界も極性を持つことを実験的に明確にした。このことはドメイン境界を制御し、デバイスへの応用を目指すうえで意義のある結果であるといえる。ドメイン境界を利用したデバイスは既存のバルク由来デバイスに比較して1000倍以上の情報量を書き込めるとの理論的試算がなされている。このことから、ドメイン境界エンジニアリングとして注目を集めているが、これまでの研究ではその物性を評価するにとどまっていた。本研究において外部刺激により、新規ドメインを生成することができ、そのドメイン境界も同じ特性を有することを明らかにできたことは、今後の応用の上で非常に重要であるといえる。また、反強誘電体であるジルコニウム酸鉛(PbZrO3:PZO)にける相転移機構を明らかにすることを目的に、極性相の存在の有無を確認するためSH強度の温度依存性測定を行った。この結果、降温過程において5K程度と非常に狭い温度領域で極性を示す相が存在することを明らかにした。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件)
2016 Joint IEEE Internationala Symposium on the Applications of Ferroelectrics, European Conference on Application of Polar Dielectrics, and Piezoelectric Force Microscopy Workshop
巻: 2016 ページ: 1-4
10.1109/ISAF.2016.7819736