スピン流を印加する対象となるカーボンナノチューブの人工原子にSU(2)とSU(4)の2種類の近藤効果を発現させることに成功した。近藤効果とは電子のスピンに起因する量子多体現象であり、低温でのスピン流の緩和においても重要な役割を果たす。さらに、これらの近藤効果を系統的に制御し、独自に開発した測定系を用いて電流ゆらぎ測定を行った。その結果、近藤効果に伴う電子の散乱現象を定量的に評価することに成功し、理論と一致する結果を得た。また、GaAs/AlGaAs、グラフェンの二次元電子系において電流ゆらぎ測定を行い、非平衡状態において発現する現象の起源の解明につながる成果を得た。
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