研究課題
Ce化合物は結晶中の伝導電子と4f電子の混成(cf混成)により反強磁性秩序や近藤半導体状態を実現するが、この二つは同時には起こりえないと考えられてきた。一方CeT2Al10 (T=Ru,Os)系はそれが同時に観測されており、注目を集めている。本研究の最終目標はCeT2Al10に現れる特異な現象の機構解明である。そこで「高温高圧合成法による関連物質の新物質・物性探索」と「低温高圧下の結晶構造の変化を調べること」の二点からCeT2Al10を調べ多角的な観点から調べることを目的とした。研究課題名にある高温高圧合成法による新物質・物性探索に関しては合成を試みた結果、純良な試料を得るのが容易ではないことが明らかになったため,低温高圧下におけるCeT2Al10の結晶構造の変化を調べることに研究の重点を置いた。まず放射光粉末X線回折法によりCeRu2Al10、CeOs2Al10の新奇反強磁性を構造の観点から低温高圧下で調べた。この反強磁性転移は加圧により突然消失し、その近傍で構造の変調が予想されたが、本研究により反強磁性転移温度付近や突然消失する圧力付近で構造変化が(実験の精度内で)起きないことが明らかになった。また構造の収縮を詳細に調べ、物性と比較することにより特定の方向への収縮が物性に大きく影響することがわかった。この物質の新奇な特徴に異方的c-f混成が重要であると提案されているが、本研究はそれを支持する結果である。また単結晶構造解析によりCeRu2Al10とCeOs2Al10は温度を下げると同じ割合で体積が減少することがわかり、これらの物質の温度依存性の比較が重要であることを明らかにした。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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