銅酸化物超伝導において磁気揺らぎが重要であると広く認識されているがその詳細は明らかではない。本研究では、電子ドープ型銅酸化物超伝導体R2-xCexCuO4 (Rは希土類)における磁気揺らぎの詳細を調べた。まず少量の磁性不純物Fe3+を置換することにより磁気相関が発達することを示し、不純物置換が弱い磁気シグナルを調べるのに有効であることを示した。さらにR2-xCexCuO4では磁気秩序相よりも高温の幅広い温度領域に磁気揺らぎ状態が実現しており、ホールドープ型銅酸化物超伝導体の磁性とは異なることを明らかにした。本研究は電子・ホール対称性を論じるうえで基盤となる磁性について重要な知見を与えた。
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