よく知られたフラーレン超伝導体であるがこれまでに電気輸送特性を系統的に調べた報告例はない。従来の固相反応で得られるfcc C60超伝導体RbxCs3-xC60(x<3)について、化学・物理的圧力を系統的に制御し電気抵抗率の温度依存性を詳細に調べた。 最も格子が拡張した相ではモット絶縁体からヤンテラー金属状態を経て超伝導に転移するまでの電子状態の変化を連続的に観測することに成功した。その振る舞いはこれまでに報告されているCu系のET錯体と酷似している。細やかな圧力制御により格子状数を一定とした場合の電気抵抗率の温度依存性に直すことでモット絶縁体領域における熱活性的な振る舞いから活性化エネルギーを見積もった。既に第一原理計算により求められているバンド幅を用いることでオンサイトクーロン斥力の急激な変化を見出した。磁化率と電気抵抗率の結果を組み合わせることで本質的な電子相図を提案することに成功した。
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